こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。
「改善提案制度を作って、ご意見箱を置いているんだけれど、なかなか出てこないんですよね」
お会いする多くの社長さんから聞くセリフです。
- 業務改善をして、生産性の低い仕事を減らし、社員の負担や残業を削減
- 社員のモチベーションを上げ、自発的な意見が出る活気のある職場に
- 品質や原価など、現場でなければわからない「ムダ」を発掘
…などなど。
スムーズに運用されれば、様々な効果を生み出す「改善提案制度」。
そのためには、どのようなことが必要でしょうか?
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目次
「改善」とは何か?
ビジネスに欠かせない「改善」
「改善」を辞書で引くと、「悪い(劣った)ところを改めて、よくすること」とあります。
ビジネスの世界においては、
- 生産性の向上
- 安全性の向上
- コストの削減
- 品質の向上
などを目的として、現状をよりよくする活動を改善というようです。
他にも、たとえ現状がそれなりのものであっても、さらに上を目指すという面もあります。
技術が日進月歩し、ビジネスモデルが日々進化していく現代。
改善は、ビジネスの発展に欠かせないものだといってもよいでしょう。
改善提案が社内を活性化する
改善という言葉とセットで使われることが多いのが、「提案」です。
「改善提案」と呼ばれることも多いですね。
上述した改善のネタを、社員からボトムアップで挙げてもらおう、という取り組みです。
製造業に限らず、多くの企業において、改善提案を制度にしています。
各人が日々改善のネタを探すことが、企業を強くすることは間違いありません。
一握りのトップのアイデアだけでなく、社員全員のアイデアが結集することで、より社内が活性化していきます。
出にくい改善のアイデア
ところが、この「改善提案」がなかなか出ないのです。
多くの社長さんが、「ウチは改善提案が出てこない」と悩んでおられます。
改善提案のBOXが設置してあっても、中身はず~っと空っぽなんていうことが、ざらにあります。
社長が口をすっぱくして「改善提案を出しなさい」と叱ったところで、出ないものは出ません。
提案に対して報奨金を設定している会社もありますが、それでも、出ないものは出ないのです。
どうしてなのでしょうか?
理由としては下記のようなものがあるでしょう。
- いつもの風景が「当たり前」なので、改善提案が思いつかない
- 改善提案書を書くのが面倒くさい(メリットを感じない)
- 過去に出した提案で、怒られる等嫌な経験をしたことがある
- 他部署への要望を出したが、一向に改善される気配がないため、出すことをやめてしまう
このような要因で「改善提案が出ない」という状況において、私がお勧めするのが、そうじ(整理・整頓)です。
なぜ そうじ(整理・整頓)が「改善」につながるのか?
改善および改善提案を進めるために、私はまずは、そうじ(整理・整頓)に取り組むことをお勧めしています。
その理由は3つあります。
①モノが「よく見える」ようになる
ひとつ目の理由は、そうじをすると、モノが”よく”見えるようになるから。
例えば砂が降り積もっている地面。
掃いてキレイにすれば、床面が見えてきます。
そこに穴が開いていたり、破れていたりしたら、それを直すはずです。
ボルトが外れていたり、緩んでいたりしたら、それを締め直すはずです。
こうした行為は、まさに改善そのもの。
わざわざ提案書に書かなくても、自分の力で実践できる「改善」です。
そうじ(整理・整頓)とは、自分の手で、環境を改善する取り組みなのです。
②「気づき」の感度が上がる
二つ目の理由は、そうじ(整理・整頓)を徹底すると、さまざまな気づきがあるから。
もし、足下にビスや釘が落ちていたら。
気が付いた時にすぐに拾う習慣がついていくため、拾うようになります。
すると、「このビスや釘はどこから落ちてきたのだろうか?」と疑問を持つようになります。
あるいは、仕事に使う機械を清掃している時。
「表面に見える部分よりも、奥の見えない部分がより汚れる」ということに気づきます。
すると、「奥の部分が汚れないようにするためには、どうしたらいいだろうか?」と考えるようになります。
「気付く」ことで、「考えられる」ようになるのです。
③創意工夫を促す
三つ目の理由は、発想の転換が起こるから。
そうじ(整理・整頓)の取り組みが進んでいくと、
「汚れているものをキレイにする」
ということから、
「どうすれば最初から汚さないように工夫できるか?」
という考え方にシフトチェンジしていきます。
たとえば、ホコリが溜まる箇所があったとします。
ある会社では、そこにホコリ防止のカバーを取り付けました。
その後、「ホコリそのものを発生させないようにするにはどうすれば?」と、集塵機を導入しました。
このように、発生源対策にまで視点が行くように進化していきます。
こうした創意工夫こそ、「改善」そのもの。
すなわち、そうじ(整理・整頓)とは、改善と同義語だといってもよいくらいなのです。
逆に言えば、そうじ(整理・整頓)をすることなしに、改善のアイデアをひねり出すのは、極めて難しいことだと思います。
成功事例
ここからは、そうじ(整理・整頓)に取り組み、社員から改善提案が出てくるようになった事例をご紹介します。
そうじ(整理・整頓)のネタ探しが、「改善のネタ」につながった!
福井県の(有)ファイン。
メガネのフレームにワンポイントのデザインなどを印刷する会社です。
長年、環境整備(整理・整頓・清掃)に取り組んできました。
当初手狭だった工場内は、無駄なものがなくなり、広々としたスペースに生まれ変わりました。
インクまみれだった機械や床面、壁面は、いまや、舐められるくらいにキレイです。
こうして活動が進化してくると、だんだんとネタがなくなってきます(笑)。
社員からも、「もうずいぶんと良くなったのだから、これ以上、やらなくてもいいんじゃない?」という疑問の声が上がります。
しかし、私と同社の藤井社長は、「まだまだネタはある!」とハッパをかけます。
そこで生まれたのが、「ネタ探しのポストイット」。
「ここが汚れている」とか「ここをもっと分かりやすくしたい」といった気づきを、各人がポストイットに書き出し、それをどんどんボードに貼り付けていきます。
内容は、何でもOK。
物理環境の改善要望の他に、会社の仕組みや制度に関する疑問や問題提起もなされています。
たとえば、工場の玄関入口にある全社員の顔写真。
全員が明るい笑顔で、お客様をお迎えします。
これだけで、工場内の雰囲気が明るく、暖かくなります。
この顔写真パネルも、上述のポストイットに挙げられたアイデアなのです。
同社においては、物理環境の変化の延長線上で、仕組みや制度の進化・発展が続いています。
そうじ(整理・整頓)のアイデアが「社直し」に!
東京都中野区の(株)小河原建設。
「東京一キレイな現場」を目指して、全社で環境整備を徹底しています。
建築現場においては、一日5回の清掃を行っており、「素足で歩ける現場」が実現しています。
事務所や倉庫も、整理・整頓・清掃が行き届き、誰もが分かりやすく快適な職場環境になっています。
こんな同社ですから、それこそ「もう活動するネタがない」という状態になります。
そこで、ネタ探しのために始めたのが、「社直し」活動。
「世直し」という言葉をもじって、会社をよりよくするための活動を「社直し」とネーミングしました。
物理環境を整えることに限らず、会社の仕組みや制度に関わることも含めて、社員が気付いたことをどんどん挙げていきます。
気づきは、専用サーバーのエクセルシートに打ち込み、挙がったものを委員会で審査します。
審査の結果、効果が期待できると判断されたものについては、担当者と納期が決められ、順次、実行されていきます。
同社においても、物理環境がますますキレイになるだけでなく、仕組みや制度も、どんどん進化・発展していっています。
現場社員のアイデアで、作業性向上とコスト削減を同時に達成!
岐阜県の鋳造業、(株)マツバラ。
鋳造業では、砂を固めて鋳型を制作するため、工場内は粉塵だらけです。
”そうじ”の取り組みは、まず、この粉塵を掃くことから始まります。
ひたすらに、ただひたすらに、修行僧のように掃き続けます。
しかし、掃くだけでは嫌になってきてしまいます。
どうにか、堆積する粉塵の量そのものを減らせないだろうか?
現場の人たちが、創意工夫のアイデアを出していきます。
たとえば、砂を運ぶベルトコンベヤから砂がこぼれ落ちて、その下部に砂が大量に溜まる箇所がありました。
そこで、
- コンベヤベルトの幅を広くする
- 砂がこぼれても回収できるように庇のような衝立を取りつける
という改善が行われました。
これによって、こぼれ落ちる砂の量は激減。
掃きそうじが楽になっただけでなく、リサイクルに回す砂の量が増えたことで、大きなコスト削減をすることができました。
まとめ
企業経営者で改善および改善提案の重要性を認識しない人はいません。
しかし一方で、なかなか改善提案が上がってこないのが現実。
その現実に対して、有効な施策を打てていない会社が多いのも、また事実。
それならば、ぜひ今日からでも実践できる そうじ(整理・整頓)に取り組んでみてはいかがでしょうか?
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