“そうじ”が組織風土を改善する3つのメカニズム【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

“そうじ”は、組織変革や活性化の契機になります。
ただ、その理由を説明できるでしょうか?

なんとなく、
「汚いよりはキレイな方がいい」
「整っていたほうが、仕事がやりやすい」
「そうじをしている企業は、業績も良さそうだ」
という印象はあっても、
「なぜ”そうじ”にそのような作用があるのか」
を、きちんと説明できる人は少ないでしょう。

本稿では、”そうじ”が企業組織にどう作用するのか、その3つのメカニズムについて、ご説明します。

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その1 部署、役職の垣根を越えて、関係性を深めていける

“そうじ”の特徴として、「誰でもできる」ということと、「誰と一緒でもできる」ということがあります。
誰とでもできるから、横の繋がりを深めていけるのです。

役職は関係ない

そうじは、四肢が健康であれば誰でもできます。
学歴や資格、特別なスキル、経験などは必要ありません。

そして、そうじにおいては、誰もが対等。役職や肩書に左右されません。
社長だからプロのようなクリーニングができるってことは、ありませんよね?(笑)
いろいろな部署、職種の、さまざまな地位、立場の人たちが、一緒になってできる活動って、実はほとんどありません。
そうじは、それができるのです。

たとえば、社長と新入社員が一緒になってそうじで汗を流すことで、そこに会話が生まれます。
手を動かしながら、相手の目を見ずに話す雑談の中で、お互いの性格や考え方、抱えている問題などを知ることができます。
互いの距離が縮まり、信頼関係が生まれるのです。

雑談」が信頼関係を育む

実際、私のクライアント企業において、50歳代の社長と、新入社員の女性(当時20歳くらい)とが一緒になって機械を清掃する場面がありました。

社長は、「最近の若い娘の言葉は、まるで宇宙語のようで理解できない」と言っていたものです。
それだけ、ジェネレーションギャップがあるということですね(笑)。

でも、その二人が一緒に全身泥だらけになりながら機械を清掃することで、間違いなくお互いの距離が縮まったようです。

その社長はある日、私に、「最近、社員が僕に対して雑談をするようになってくれました」と嬉しそうに報告してくれました。

社長と社員が一緒になって汗を流すことで、お互いの距離が縮まり、雑談ができる間柄になったということです。

雑談の中に「その人の抱える困りごと」が隠れていることは多々あります。
改善提案を出してもらう目安箱を設置するよりも、雑談ができることは、社内環境を変えていくのに価値があるかもしれません。

関係構築のために、「社内イベント」では足りない2つのもの

もちろん、そうじでなくても、経営者と社員が対等な立場で一緒に汗を流すことはできます。
たとえば、社内の運動会や社員旅行などです。
こうしたイベントも、コミュニケーションの促進や相互理解に一定の効果があるでしょう。

ただ、そうじにあって、これらのイベントにはないものが2つあります。
それは「持続性」と、「実務上のメリット」です。

①持続性

社内イベントは、その多くが1日で終わるものです。
企画チームは、企画から実施日まで定期的に集まり一つのものを作り上げる「時間の共有」ができますが、参加者が普段合わない社員と交流ができるのはイベントの日のみ。

また、このようなイベントは業務外で行われることが多いため、参加を快く思わない人もいるかもしれません。
これらのことから、1日のイベントでは、その後の業務に生かせるまで関係性を深めていくことは難しいと言えるでしょう。

そうじは、毎日の業務時間内に時間を設けて行うことです。
つまり、毎日、社内の色々な人と仕事以外でのコミュニケーションの時間があるということ。
そして、そうじにはイベントのような「ゴール」がありませんので、継続して関係性を深めていくことができるのです。

②実務上のメリット

そうじとは、整理・整頓・清掃のこと。
不要なモノが減ったり、置き場がわかりやすくなったり、清潔になれば、それだけでも働きやすくなります。
さらにその先に「効率が良くなった」「事故やケガが減った」などといった、実務上のメリットもたくさん生まれてきます。

その2 「小さな役立ち行為」の積み重ねが、自発的行動を促進する

“そうじ”が企業の組織変革や活性化に作用する理由を、もう少し別の視点から説明します。
それは「そうじは小さな役立ち」だということです。

小さな役立ちはプラスのサイクルを生む

たとえば、道を歩いていて、足下にゴミが落ちていたとします。
気づいた人が、サッとそれを拾ったとします。
すると、そこにゴミが放置されているという、ひとつの「問題」が解決するのです。
そして、周囲の人は、ゴミを拾い上げた人に「ありがとう!」と感謝することでしょう。

このように、そうじというのは、小さなことではあっても、周りの役に立つ行為なのです。

書籍がグチャグチャに乱れている本棚を、誰かがそっと整えてあげる。
汚れているテーブルを、気づいた人がサッと拭いてキレイにしてあげる。
駐車場に雑草が伸びていたら、有志が鎌を持って刈り取ってくれる。
そんな行為が日常当たり前に行われていれば、その組織内には、「ありがとう」という感謝の声が飛び交うはずです。

逆のことをイメージしてもらうと、よく分かります。

足下にゴミが落ちていても、誰も拾わない。
本棚が乱れていても、誰も整えようとしない。
テーブルが汚れていても、誰も拭こうとしない。
雑草が伸び放題になっていても、誰も手をつけようとしない。

こうした組織の中にいる人たちの気持ちは、おそらく、
「それは自分の仕事じゃない」
「汚した人間が悪いのだ」
「誰かがやってくれるだろう」
ということなのでしょう。

あまり、中にいて気持ちの良い組織ではありませんね。

以前、ある会社の事務所を訪ねたときに、シュレッダー屑がシュレッダー機の周囲に散乱していました。
しばらく様子を見ていたのですが、屑が溜まるビニール袋がすでにパンパンに膨らんでいるのに、誰もビニール袋を交換しようとせず、屑をぎゅうぎゅうに詰め込むだけ。
そしてまたシュレッダーを稼働させるので、どんどん屑が溜まり、周囲に屑が飛び散っていくのです。

きっと、このような「他人任せ」「責任意識の欠如」「無関心」という意識は、実務上でもそのままの形で表れてくることでしょう。

小さな役立ちは、人間力を向上させる

別の見方をすれば、そうじは「人間力の向上」に寄与する、と言えるでしょう。

積極性、自発性、素直さ、明るさ、勤勉さ、約束を守る意識、責任感、やさしさ、思いやり、忍耐力、継続する力、創意工夫する力、本質を見抜く力、問題を発見する力…。

こうしたものが、「人間力」です。

商品もサービスも、人間が生み出すもの。

すぐれた商品やすぐれたサービスによって、企業業績を上げたいと思うのならば、まずはそれを生み出す「人間」の力を高めなければなりません。

AI時代などと言われますが、このことは、どんなにAIが発達しても、変わらないでしょう。

当然ながら、この人間力は、一朝一夕には向上しません。
「小さな役立ち」を続けていくほかに道はないのです。

理念は復唱するより、行動することが大切

よく社是や企業理念などに、
「互いに尊重し合いましょう」
とか
「互いに感謝し合いましょう」
というような文言を見かけます。

しかし、いくら言葉で説いたところで、人の心には響きません。
毎日読み上げて暗記をしたところで、それが行動に結びつくかと言えばそうではありません。

しかし前述したように、足下のゴミを拾ったり、テーブルを拭いたり、本棚を整えたり、雑草を取ったりする「小さな役立ち行為」を積み重ねることで、実際に、こうしたマインドが育まれていくのです。
なぜならば、その行動が「尊重し合う」「感謝し合う」ことそのものだからです。

その3 モノを媒介にすることで、コトに自然にアプローチできる

“そうじ”が企業の組織変革や活性化に作用するメカニズム。
3つ目は「モノを媒介して、コトにアプローチできる取り組み」であるということです。

「モノを媒介するアプローチ」とは

たとえば、誰かのデスクの上に書類が山積みされているとします。

「なぜそんなに書類が溜まってしまうのだろう」
と考え、ヒアリングしてみると、
「その人に業務が集中し過ぎている」
というようなことが分かってきます。

すると解決策としては、業務を同僚で分担して平準化しよう、ということになります。

モノを媒介するアプローチとは、こういうことです。

ところが、いきなりコトにアプローチしようとすると、
「○○さんは仕事が遅いから書類が溜まるんだ」
というような精神論になり、ケンカになってしまいます。

嫌味なく、コトにアプローチできる

私のクライアントの会社で、こんなことがありました。

事務所内の整理、整頓を進める中で、ある社員さんの机の中から、領収証や契約書、そして現金などが出てきたのです。

領収証は、お客様にお渡ししなければいけないもの。
契約書は、しかるべき場所にファイルして置くべきもの。
そして、現金は、経理上、きちんと精算をしなければいけないものです。

この社員さんは、こうしたことの管理が苦手で、これまでもよく大事な物をなくしたり、忘れ物をしたりしていました。

そこで、これを機会に、こうした契約書や領収証、現金などを、どのような手順で処理していくのかを、あらためて確認し、上司や管理部門などのフォロー体制も構築しました。

これがもし、
「○○さんは精神がたるんでいる。もっとしっかりしてもらわないと困る。」
という話になると、実際にはちっとも改善しないでしょうし、こういうことを言う方も言われる方も、精神的に疲れてしまいます。

あるいは、別の会社の事例ですが、この会社では、毎日、夕方に、全員で10分間そうじを行うことになりました。
ところが、この活動がうまく進みません。

建築会社なので、日中はそれぞれが現場に出ていて、夕方に戻ってからそうじをするのですが、夕方になっても、人が集まらないのです。

この会社ではそもそも、その日に誰がどこにいて何をしているのかさえ、社員同士で確認する手立てがありませんでした。
これでは、連絡や意思疎通がうまくいくはずがありません。

そこで、それぞれが今日、どこで何をしているのかを、LINEを使って共有することにしました。
そして、ミーティングやイベントの日程や内容も、事前に共有するようにしました。

その結果、そうじがうまく行くようになったのはもちろんのこと、社内の情報共有が進み、無駄や重複、ミスや遅れなどがなくなり、互いに協力し合う体制ができてきたのです。

モノを媒介することで、嫌味なく、コトにアプローチできるのです。

まとめ “そうじ”は企業の基礎体力づくり

ここまでの話を総合すると、「“そうじ”は企業の基礎体力づくり」という言い方ができるかも知れません。

スポーツの世界を思い浮かべてみてください。
どんなに一流の選手でも、基礎体力作りは怠らないはずです。

たとえばサッカーで、非凡なセンスを持つ選手がいたとしましょう。
その選手は、パスワークやシュートで、他の選手にはない、優れたカンとテクニックを誇っていたとします。

ところがもし、その選手が、基礎体力づくりを軽視し、ランニングなどを怠っているとしたら、長い目で見て、一流の活躍は期待できないでしょう。

企業もまったく同じです。

良い商品やサービス、ユニークな販売方法は、確かに大切です。
ビジネスである以上、商品やサービスなどが最終的に金を生むことは間違いありません。

しかし、いくら良い商品や良いサービスがあっても、もし、
「約束を守らない」
「ミスが多い」
「連絡をしても返信がない」
「大事な書類をなくす」
「事務所や工場が汚く散らかっている」
「社内で情報が共有されていない」
「社内がギスギスしている」
というような状態だったとしたら、その会社が永続して発展していくことは難しいでしょう。

会社を良くしようとするときに、どうしても、派手でユニークな商品や販売方法に目が行ってしまいがちです。
しかし、それらは言ってみれば「枝葉」であり、その枝葉を支える「根」や「幹」が脆弱であれば、いずれ枝葉も枯れていくことでしょう。

前編はこちら “そうじ”が組織を変え、活性化させる3つの理由

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