こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。
「社内の情報共有ができていない。ならば、新しい情報共有システムを構築しよう」
現場からの声に対し、経営層はそんな判断をしがちです。
でも、「最初にやるべきこと」をせずにITシステム開発を発注してしまい、
「本当に必要だったものが組み込まれていなかった」
というのは、よくある話ではないでしょうか?
もちろん、最終的には何らかのシステムを構築するにしても、その前にやるべきことがあります。
それこそ、そうじ(整理整頓)。
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目次
情報共有に有効な方法とは?
社内・職場内で必要な情報が共有されているか?
多くの中小企業で、意外に大切な情報が社内で共有されていません。
個々の持っている情報は、あくまでも個人が抱えており、組織に生かされていないのです。
「情報共有」というと、
「交換した名刺を社内で共有しよう」
とか、
「顧客情報をデータベースで共有しよう」
とかいうことが思い浮かびます。
でも、実はもっと身近な情報、たとえば、
「今日、同僚のAさんはどこで何をしているのか」
「過去に施工したBという物件の図面はどこにあるのか」
といったようなことも、きちんと共有されていないことが多いのです。
システム構築の前にすべきことは?
そもそも、どんな情報を共有すべきかが分からなければ、いくら高度な情報共有システムを導入しても意味はありません。
- 各社員のスケジュール?
- 顧客情報?
- 商品の在庫状況?
- 工事の進捗状況?
- 備品や書類の管理方法?
- 行政・業界動向?
- 会社方針・営業施策?
こうして、あまたある情報のうち、
「わが社として共有しておくべき情報はなんなのか」
を、まず見極める必要があります。
そこでお勧めするのが、
「そうじ(整理整頓)を通じて共有が必要な情報をあぶり出していく」
方法です。
なぜ そうじ(整理整頓)が有効な方法なのか?
情報共有を進めるために、私はまずは、そうじ(整理整頓)に取り組むことをお勧めしています。
その理由は大きく2つあります。
①必要な情報があぶり出されてくる
たとえば、「整理=不要なモノを捨てる」ということなのですが、そもそもどこに何があるのかが分からなければ、捨てようがありません。
モノの整理をしていくと、
「あれ、これってこんな所にあったんだ!これ探してたんだよね!」
「これはもう事業で使っていないから要らないな」
という気づきがあります。
次に整頓。
「整頓=必要なものの置場を決めて分かりやすいように明記すること」。
どこに何をどのように置くかを考える段階で、
「これは皆が使うから一番目立つ位置に置こう」
「これは個人が分かればいいから個人の引き出しに入れよう」
というやり取りがあります。
このような作業をつうじて、
- 共有すべき情報
- 特に重要ではない情報
が仕分けされていきます。
つまり、
「情報が共有できなければ環境整備は進まない」
そして、
「環境整備を行うことによって、必要な情報があぶり出されていく」
ということなのです。
②モノを媒介にすることで、コトにアプローチできる
情報というのは「コト」です。
コトというのは目に見えないものです。
目に見えないものほど、取扱いがやっかいなものはありません。
観念だけで考えると、時に、机上の空論に陥ってしまいます。
しかし、「モノ」を媒介にして考えると、実のあるやり取りができます。
たとえば、誰かのデスクの上に書類が山積みされているとします。
「なぜそんなに書類が溜まってしまうのだろう」
と考えると、
「その人に業務が集中し過ぎている」
というようなことが分かってきます。
すると解決策としては、
「業務を同僚で分担して平準化しよう」
ということになります。
モノを媒介するアプローチとは、こういうことです。
ところが、いきなりコトにアプローチしようとすると、
「○○さんは仕事が遅いから書類が溜まるんだ」
というような精神論になり、ケンカになってしまいます。
モノを媒介することで、嫌味なく、コトにアプローチできる。
これが、そうじ(整理整頓)の良いところなのです。
こうして、共有すべき情報が明らかになったところで、はじめて、どのような制度やシステムを構築するか、を検討することになります。
成功事例
ここからは、そうじ(整理・整頓)に取り組んだことで、情報共有が進んで、良い成果が現れた事例をご紹介します。
【事例1】チーム内の連携が良くなり営業成績が上がった
埼玉県深谷市の(株)小池勝次郎商店は、農業用の資材の小売および農産物の直売所の運営を行っています。
そうじ(整理整頓)の活動をはじめた当初は、事務所内、店舗内、倉庫内はいずれも、モノモノモノで溢れかえっていました。
環境整備の原則に従い、まずはとにかく不要なものをどんどん捨てていきました。
その結果、
- どこに何があるのかが見えるようになった
- 倉庫に不良在庫がなくなった
ことによって、在庫の棚卸額を大きく減少させることに成功しました。
面白かったのは、外販部の事務所の変化です。
外販部は、大口のお客様を訪問し、注文を取ってくる、外回り営業部です。
各営業マンのデスクは書類の山でした。
それを整理し、徐々にデスクの上はクリアになっていきました。
当初は、各自のデスクは壁に向かっており、互いにお尻を向けて座る形になっていました。
整理・整頓がある程度進んだところで、一人一台のデスクをやめ、部屋の真ん中に楕円形のテーブルを置き、フリーアドレスに変えました。
フリーアドレスとは、誰がどこに座ってもよい、というシステムです。
こうすることで、営業マンは、嫌でも向かい合って座ることになります。
これまでお尻を向けて座っていた時は、重要なことがなければお互いにあまり話すことがありませんでした。
自分の仕事に集中できる、というメリットはありますが、時には必要な情報が交わされていなかった、といったことが起こっていました。
ところが、こうして向かい合って座ることで、ちょっとした雑談から、重要な顧客情報まで、いろいろなことを話し合うようになりました。
結果として、部内の連携が良くなり、営業成績がグンとアップしたのです。
【事例2】朝礼や連絡会議により必要な情報が共有されるようになった
香川県琴平町の(株)イシカワは、介護用品の販売・レンタル、そして介護用の住宅リフォームを手掛ける会社です。
そうじ(整理整頓)の取り組みをはじめた当初は、整理・整頓・清掃がなかなか進まない状況でした。
たとえば、毎朝の清掃になかなか人が集まらない。
業種がら、お客様からの呼び出しなどが多く、直行直帰が多かったのです。
そうすると、せっかく設定した清掃も、したりしなかったり。
同様の理由で、月に一回設けている大掛かりな環境整備も、参加率が悪く、なかなか思うように進みません。
そこで、「先約優先」の原則を守るように徹底しました。
朝礼にしても、環境整備にしても、先に予定が入っている以上は、そこに後からアポイントを入れない、ということを徹底したのです。
また、ある営業マンのデスクの上には、書類が山積みになっていました。
デスクの整理をすると、
「その営業マンに業務が集中している」
ということが初めて明らかになりました。
そこで、営業部内で業務を分担するために、毎週1回、営業の連絡会議を行うようにしました。
これにより、業務負荷が平準化されただけでなく、重要な顧客情報や業界情報がいち早く共有できるようになったのです。
環境整備を通じて、「交わした約束を守る」という企業風土、そして、「一部の人間だけが分かるのではなく、誰でも分かる」仕組みが、徐々に出来つつあります。
【事例3】誰もが分かる仕組みで仕事のレベルが上がった
大阪府で3つの霊園の運営と、墓石販売を手掛ける(株)西鶴。
霊園(墓地)というと一般的には「暗く汚い」というイメージがありますが、同社は「明るくキレイな」霊園を展開する、ユニークな企業です。
同社が特に力を入れているのが、「誰でも分かる仕組みづくり」です。
たとえば、これまでは、霊園ごとに、パソコンの中の電子データの保存方法が違っていました。
A霊園ではこういうやり方、一方のB霊園では違うやり方。
これだと、社員の異動があった時などに、困ってしまいます。
誰が、いつ、どのパソコンにアクセスしても、必要な情報がすぐに取り出せるように、全社で電子データの保存方法を統一化しました。
また、事務用品や霊園内に手を入れるための園芸用品といった道具も、
「どこに何があるのか、今日入った新人でも分かるようになっているか」
という観点で見てみると、そうはなっていません。
ならば、まったくの素人でも分かるようにしようと、標示と標識を根本からやり直すことにしました。
こうした情報共有の施策も相まって、同社の業績はうなぎのぼりです。
まとめ
「情報共有」というと、すぐに「システム構築」という話になりがちです。
もちろん、最終的には何らかのシステムを構築するにしても、その前にやるべきことがあります。
それは、
- どこにどんな情報が眠っているのか(現状把握)
- どのような情報を皆でどのように共有すべきか
をしっかりと定義すること。
これをあぶり出すのに最適な施策は、そうじ(整理整頓)であると、胸を張ってお勧めできます。
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