こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。
“そうじ”は、組織変革や活性化の契機になります。
ただ、その理由を説明できるでしょうか?
なんとなく、
「汚いよりはキレイな方がいい」
「整っていたほうが、仕事がやりやすい」
「そうじをしている企業は、業績も良さそうだ」
という印象はあっても、
「なぜ”そうじ”にそのような作用があるのか」
を、きちんと説明できる人は少ないでしょう。
今回は、「なぜ”そうじ”をすると、組織が変革し、活性化するのか」その3つの理由を解説します。
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目次
理由①「意識が変わる」から
なぜ“そうじ”をすることが、組織変革や組織活性化につながるのでしょうか?
ひとつめの理由は「意識が変わるから」。
おっと、精神論ではありませんよ。
体の動きが、身体の内面に影響する
人間の心と体は連動しています。
たとえば、心がウキウキ楽しいと自然と笑顔になりますね。
逆に、心配事や不安、恐怖、怒りなどが心の中にあると、顔がこわばったり暗い表情になったりします。
場合によっては背中が曲がったり、熱が出たり頭痛がしたり、ということもあります。
このように、心の中のありようは、身体の状態になって反映されます。
野球などのスポーツで、よく指導者が「声を出せ!」と言いますね。
これは、声を出すことで体の中が活性化し、前向きな意識が生まれるからです。
「もうダメだ・・・」と思っていたものが、「まだ頑張れる!」という気持ちに切り替わり、実際に体も動くようになるのです。
ガンや高血圧の患者さんたちに、落語や漫才を見せると、それだけで血圧が下がったり、免疫力が上がったりするという実験結果を、医療研究者が発表(※1)しています。
笑い、という体の表面の動きが、身体の内面に影響する、ということです。
また、腰骨を立てて背筋を伸ばすことを「立腰(りつよう)」と言いますが、立腰することで、集中力が高まり、仕事の効率が良くなったり、学校の成績が良くなったりします。
一方、背中が曲がっていると、気力が萎え、ケアレスミスが多くなったりします。
つまり、心の中の状態は体の状態となって表に現れると同時に、身体の動きを変えることで、心の中の意識もおのずと変化していくのです。
意識を変えるために行動を変える
さて、会社を変えるためには、組織を構成する人たちの「意識」を変える必要があります。
でも意識って、実際のところ、どうやったら変わるのでしょうか?
実のところ、頭の中だけで意識を変えるのは、とても難しいこと。
そこで先ほどの話、身体の動き、つまり「行動」を変えていくと変化が起こってきます。
デスクの上に書類が山積みになり、道具類があちこちに散乱している状況では、心が落ち着かず、仕事に集中できません。
だから、デスクの上を整理・整頓し、部屋の中を片づけると、気持ちが整い、仕事に集中することができます。
机の上をキレイに拭き上げ、部屋の隅や奥のホコリも見逃さずに掃き清めると、頭の中もクリアになっていることがわかります。
そのような「行動」を通じて、納期に間に合わせ、ミスなく仕事をやり遂げるという“きちんとした”「意識」が芽生えてくるのです。
事務所や工場の床にゴミが落ちていたら、気づいた人がサッと拾う。
こうした行動を繰り返すことで、
「問題を見て見ぬふりをしない」
「人のせいにせずに、自分でできることを行う」
という健全な意識が育つのです。
何も行動せずに、「人の役に立つことをしましょう」と100回念仏のように唱えても、そんなふうにはなれません(笑)。
理由②「自分たちで汗をかいて変えていく」から
キレイな環境にするだけでよければ、清掃を完全に外注しても良いでしょう。
でも、「自分たちで」「汗をかきながら」きれいにするからこそ得られる効果があります。
人は環境に左右される
人は、周囲の環境に適応して生きています。
会社の中に物が散乱し、どこに何があるか分からない状態。
あちこちにホコリが溜まり、使う道具なのかゴミなのかが分からないような状態。
こんな状態の中で、社員に“規律正しい行動”を求めても無理な話です。
こうした環境は、無言のうちに、
「遅刻しても構わないよ」
「納期に間に合わなくても仕方がないよ」
「安全のことなんか気を使うな」
「自分で好き勝手にやっていいよ」
というメッセージを発信しているようなものです。
逆に、
- 必要最小限のものが、使いやすい場所に置かれ、どこに何があるのか一目瞭然
- 隅を見ても裏を見ても、塵一つホコリ一つない
という状態は、
「約束を守ろう」
「人が見ていなくても手を抜かないようにしよう」
「物を大事に使おう」
「お互いに気を遣おう」
というメッセージを発していると言えます。
自分たちで汗をかいてやったことは「自分事」になる
しかし、ただきれいな環境が意識を変えるのかと言えば、そうではありません。
他の誰かにしてもらうのではなく、「自分たちで汗をかいて変えていく」ことが、意識の改革につながっていくのです。
たとえば、賃貸のオフィスビルのトイレ。
管理会社が毎日清掃に入ってくれています。
自分が使用時に汚してしまっても、翌日にはきれいになっていますから、汚してしまっても気にすることはありません。
そのような環境に慣れた人は、会社の外でも、たとえば公園のトイレや取引先のトイレを気づかず汚すでしょう。
でも、トイレの裏も表も自分でピカピカに磨いて清潔にしたらどうでしょうか。
トイレという世の中で一番汚れる場所。
しかもその場所は、誰もが使う場所。
そのトイレを、自ら磨くことは、
「目の前の問題から目をそらさない」
「人のせいにせずに、自分でできることを行う」
「目の前のものごとに当事者意識を持つ」
「基本的なことをおろそかにしない」
という意識を育みます。
車なんかも同じことが言えます。
汚いまま使われている車は、事故が多いと言われています。
キズやへこみをそのままにしていたり、「どうせ雨が降るし」と洗車もしていなければ、少し縁石でこすったりしても気にならないからです。
車に載っている余計な荷物を降ろし、自分でキレイに洗車してあげれば、事故が減ります。
「大切に乗りたい」という意識が働くからです。
車を駐車するときに、駐車場のラインを無視して、斜めに停める人がいます。
ついでにハンドルが左右どちらかに切られたままで、前輪が曲がっていたりもします。
こういう人も、事故が多いです。
普段から、ラインに対して真っ直ぐに停め、タイヤも真っ直ぐにすることを習慣づけておけば、
「規律を守る」
「丁寧に行動する」
ことが身についてきます。
実際、私のクライアントのバス会社では、運転士さんたちがバスの車内外を徹底してそうじするようになって、事故が激減しました。
▽導入事例
理由③「基本をおろそかにして大きなことはできない」から
再建の三大原理
昭和の教育哲学者である森信三先生のおっしゃった有名な言葉に、『再建の三大原理』というのがあります。
荒れた学校や企業を建て直すには、まず次の三つのことをしなさい、というのです。
- 時を守り
- 場を清め
- 礼を正す
「時を守り」というのは、文字どおり、時間を守るということです。
もう少し広げると、約束を守る、ということになるでしょう。
「場を清め」はそうじです。整理・整頓・清掃をして、場を整え、キレイな状態を保つ、ということです。
「礼を正す」は、挨拶、返事、身だしなみ、言葉遣い、などでしょう。
この三つ、まことに基本的で、当たり前のことです。
わたしたちが子どもの頃、親や学校の先生からしつけられたはずのことです。
こんな当たり前のことが、なぜ『再建の三大原理』なのでしょうか?
それは、こうした基本的なことが組織としてしっかりできている企業が、実は世の中には少ない、ということ。
そして、こうした小さなことをおろそかにして、大きなことはできないからです。
潰れる会社は、必ず汚い
たとえばスポーツにしても、基本をおろそかにした選手が大成することはありません。
学校の勉強でも、基礎ができていなければ、応用問題は解けません。
企業においても、「時を守り、場を清め、礼を正す」という基本ができていなくては、いくら良い商品や斬新な販売方法があったとしても、長期間にわたって安定的な業績は残せないでしょう。
実際、私も、いろいろな企業を訪問・視察する機会がありますが、やはりこの三つの基本ができている会社は、安定的に業績が良いようです。
逆もまた、しかりです。
銀行員は、取引先企業の状態を把握するために、その企業を訪問すると、事務所内の書類が整理・整頓されているかをそれとなく確認したり、トイレが汚れていないかどうかを、さりげなくチェックしたりするのだそうです。
また、私の知り合いに、数多くの会社の再建を手がけてきたターンアラウンド・スペシャリストがいますが、その人いわく、「潰れる会社は、必ず汚い」とのこと。
会社の業績が傾いてきたから人心が荒れ、そうじをしたりすることに気が回らなくなって、結果として会社が汚くなるのか。
あるいは、そうじをすることをしないという風土が、会社の業績を悪くするのか。
そのへんは、「ニワトリが先か、タマゴが先か」よくわかりません。
でも、「潰れる会社は、必ず汚い」とは、重い言葉です。
まとめ
ということで、”そうじ”をすると、なぜ組織が変革し、活性化するのかについて、3つの理由をご説明しました。
別記事(↓)にて、”そうじ”を自分たちで行うことが企業にどう作用するのか、ご説明します。
※1 朝日新聞デジタル 「笑い」でがんへの免疫力向上 大阪の医療機関が発表 2018年5月29日
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