社長が社員と一緒に取り組まないと効果激減!環境整備失敗事例①社員の姿勢が不満なZ社長【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

整理・整頓・清掃を通じて、自社の現状や経営課題を明らかにし、全員でより良い企業風土を作る活動。
弊社ではこれを”そうじ”と表現しています。
「環境整備」や「5S活動」とも言われています。

ですがこの環境整備、
「やれば効果はあるんだろうけど、失敗することはないんだろうか?」
「ウチに導入して、失敗しないだろうか?」
と心配される向きもあるでしょう。

私の経験から申し上げられるのは、
「ほとんどのケースで成功しますが、失敗パターンにあてはまる場合には、残念ながら難しいでしょう」
ということ。

前回の記事では、失敗してしまう4つのパターンについて解説しました。

今回は、「社長が環境整備を”社員にやらせたかった”」ために、活動の継続ができなかった失敗事例をご紹介します。

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活動は順調にスタート

地方で製造・販売を行う社員15人ほどのZ社。
40代の社長は、20代で会社を継いだ二代目です。

社長から、
「環境整備を通じて社員の力を底上げしたい」
とのオファーを受けて、取り組みを開始しました。

社員さんの反応は前向き

まずは、各部門からリーダーを選出。
そのリーダーたちを中心に活動を進めていきます。

私は、毎月1回同社を訪問し、

  • 社長を交えたリーダーミーティング
  • 全員研修

という二本立てで、お手伝いをしていました。

私がリーダーたちにお願いしたのは、大きく二つ。

毎日、時間を決めて、全員で”そうじ”の活動を行うこと。
そして、月に1回ないし数回、全員で集まって、大掛かりな整理・整頓を行うこと。

“そうじ”を行う時間帯やスケジュールは、部門や事業所ごとに事情が違います。
ですので、それぞれにとって最適な設定を行うよう、各リーダーにお任せしました。

当面の間、行う主要なアクションは、整理=つまり不要なものを捨てることです。
Z社では、事務所内は書類の山、そして倉庫にはたくさんの資材や在庫が積み上げられていました。
まずはそれらを整理し、動いた実績がないものや、今後使うあてのないものを、どんどん捨てていきました。

毎回の全員研修においては、実習として、それらの整理を行います。

社員さんたちの反応は、
「ずっとこれらの在庫が気になっていた」
「この部屋を片づけたいと思っていた」
などなど、なかなか良いものでした。

各リーダーも積極的に動いてくれ、それぞれの部署で、少しずつ環境整備の活動が定着しつつありました。
おかげさまで、パンパンに物が溢れていた倉庫にも余裕ができ、積み上げられた在庫も減っていきました。

3つの気がかりなこと

ただ、支援していく中で、気がかりなことが3つありました。

①社員が「使っていない、今後も使わない」というものを、社長が処分させてくれない

まず、モノを捨てようとすると、社長がそれを止めることです。

photoAC

明らかに何年も使ってないものを、社員が捨てようとしたとき。
それを見た社長が、「これは高かったんだ」とか「何かに使えるかもしれない」と言って、捨てさせないのです。

「どうせ取っておいても使わない」ということは、社員の目から見ると、自明の理。
社員からすれば、不満が募ります。
せっかく張り切ってそうじをしようとしているのに、そこに冷や水を浴びせられるわけです。

これが一度ではなく、たびたび起こっていました。

②社長室を聖域にする

もう一つ気になったのが、社長室です。
社長室は、社員が執務する事務所とは別棟にあります。
その社長室が、書類の山で、足の踏み場もないほどなのです。

私は社長に対して、何度も整理をするように促しました。
ところが、返ってくる答えはいつも、
「これでもやってるんです」。

社長ご自身が、整理整頓が苦手なので、なかなか片づきません。

そこで、社員さんと一緒に整理をすることを提案しました。
他人の目が入ると、モノを捨てられない人でも、思い切って捨てることができます。

ところが、
「社員に見られたら困る書類があるので、社員は社長室には入れられない」
とのお答え。

これでは、進みようがありません。

③社長が声掛けをしない

極めつけは、社長が
「社員がそうじをするようにならない。小早さんがもっと指導してくれないと困る」
と不満を漏らしたことです。

私の目から見ると、社員さんたちは、それなりにそうじに取り組んでいるように見えます。

何が不満なのか、もう少し突っ込んで聞いてみると、
「毎朝のそうじの時間に、社員たちがそうじをせずにさぼっている」
というのです。

私は、社長に
「社長はその時、彼らに注意したり声掛けしたりしていますか?」
と聞いてみました。

すると、「いえ、それはしていません」。

なぜですか?と問うと、
「それは小早さんの仕事であって、私の仕事ではない」
とおっしゃるのです。

私は常々、社長が社員さんたちと一緒になって活動してください、とお願いしてきました。
そして、環境整備を成功させるのも、失敗させるのも、社長の姿勢次第だということも。

もちろん、Z社長のように、そうじや片づけが苦手な人もいます。
だから、完璧にキレイにすることは求めていません。
苦手でもいいのです。
社員と一緒になって汗を流すことが大切なのです。

でも残念ながら、Z社長には、最後まで、そのことをご理解いただけなかったようです。
結局Z社は、その後、訪問のドタキャンなどが続き、中途で解約となりました。

「社長自身が取り組むこと」とは、「こだわりを捨てる」ということ

「まずは社長自身が取り組むこと」。

この言葉で伝えたいのは、
「トイレ掃除や会社の周りのごみ拾いを、社長一人で黙々と取り組むこと」
ではありません。

これからの未来のために、
「今まで見て見ぬふりをして放置きたものと、きちんと向き合い、あるべき姿に納めること」
なのです。

社長にとって、かなり辛い作業になることもしばしばです。

例えば、かつて社業のために思い切って購入した高価な機械や資機材。
社員に「使わないので処分してください」と言われたら、過去の決断は失敗だったと言われている気持ちになるかもしれません。

雑然とした社長室に手を入れられることや、自ら「一緒にそうじをする」「声をかける」実践をすること。
それが、「今まで社員に見せてきた社長」像を壊されてしまう気持ちにさせるかもしれません。

だからこそ、社員と一緒になって取り組んでほしいのです。
ものと向き合い処分する作業は、一人だと辛いですが、誰かと一緒にやると、肩の荷が下りたように進みます。
拭いたり磨いたりする作業は、一緒にやると、「同じ課題をともに解決している」連帯感が生まれます。
社員との心の距離が近くなれば、社員ひとりひとりの声を拾いやすくなるでしょう。

まとめ

社長自身がまず熱心に取り組むこと。
そして社員と一緒に取り組み、社員の話を聞くこと。
これら2つを満たしていれば、環境整備はうまくいく確率が高いと言えるでしょう。

失敗事例の具体的エピソードはこちら

失敗事例①「社長が環境整備を”社員にやらせたかった”ために、活動の継続ができなかった」ケース ←本記事

失敗事例②「身内の反対にあってしまったために、活動の継続を諦めた」ケース

失敗事例③「そもそも経営そのものに問題があった」ケース

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