「もったいない」は本当に美徳か?【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

「もったいない」という言葉は、「環境を守るための言葉」として今や世界に広がっています。

もともと仏教に由来する日本語ですが、モノに対してその言葉の本来の意味ではなく使われている節があるように感じています。

今日はこの「もったいない」について考えてみようと思います。

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ボロボロになっても使い続ける=大切にする?

先日、とある支援先に行って、環境整備の研修を行いました。
そこでトイレそうじの実習を行ったのですが、そのときに感じたことがあります。

その会社で用意された雑巾が、ボロボロに傷んでいるのです。
イメージとしては、下の写真のような感じです。

この会社では、雑巾を大切にしており、汚れたり傷んだりしたからといって、すぐには捨てずに、とことん使い切るようにしているとのこと。

こういう会社は、けっこうあります。
でも、これって本当に「モノを大切にしている」のでしょうか…?

「モノを大切にする」とはどういうことか

「モノを大切にする」という精神は、確かにとても良いことです。
しかし、そのことと、道具を適切な状態で使う、ということは、別の話です。
それでは、どのような行動が「モノを大切にする」ということなのでしょうか。

①そのモノの役割(命)を全うさせてあげる

ひとつめは、「そのモノの役割(命)を全うさせてあげる」ことです。

たとえば、このように傷んだ雑巾で、果たしてきちんと掃除ができるでしょうか?

繊維が弱くなっているので、きつく絞ることができません。
結果として、余分な水分を含んだまま拭き掃除をすることになります。
そうすると、拭いた面が、びちょびちょになってしまいますね。

また、繊維くずが抜けていくので、拭いた面にたくさんの糸クズが残ってしまいます。
これでは、せっかくキレイにするために雑巾がけをしているのに、実際にはキレイにならない、ということになってしまいます。

つまりこの雑巾は、すでに「雑巾としての生」を全うしているのです。
汚れがこびりついてしまったり、繊維が破けたりしてしまったりしたら、そこで捨てるべきです。

「雑巾としての生」は終わっても、そこからは「燃焼されエネルギーとなる」ことが役割で、なんらもったいなくはないのです。

②そのモノを扱う人を大切に扱う

ふたつめは、「そのモノを扱う人を大切に扱う」ことです。

たとえば、割れたガラス窓や壁に空いた穴を、段ボールで覆って補修しているケースがあります。
下の写真のようなイメージです。

なぜこのようにしているのか、と社長さんに聞くと、
「いちいち修理していたらキリがない」
「修理する費用がもったいない」
「どうせ他にも割れるので、まとめて後で直そうと思っている」
というような答えが返ってきます。

確かにそうなのかもしれません。
でも、この状態でないがしろにされているものがあります。
そこで働いている「人の心」です。

段ボールの隙間から、冷たい風が入ってくるかもしれません。
光を遮られ、室内が暗くなっていることでしょう。

例えばそんな状態で、社長が「わが社は社員を大切にする経営を行っています」と対外的に言っていたとしたら、社員はどのような気持ちでそれを聞くことになるでしょうか。

また、この状態を放置しておくことは、
「モノを、そのもの本来の状態で使わないのが当たり前」
というメッセージを発しています。

だから、「どうぜボロなんだから」と、かえってモノを乱暴に扱ってしまいがちなのです。

モノを大切に使おうとするならば、そのもの本来の姿を、常に保つことが必要です。
モノが壊れたり破けたりしたときには、応急処置をした上で、できるだけ早めに、本来の姿に戻るように修理すべきです。

「もったいない」の本当の意味は、「人や物を、そのもの本来の力を発揮させる」

どうも世の中には、「もったいない」という言葉を、
「ボロボロになるまで使い切る」
「できるだけ費用をかけない」
というふうに意味を取り違えている人がいるようです。

しかし本来の「もったいない」とは、「人や物を、そのもの本来の力を発揮させる」ということだと思うのです。

だから、雑巾は、新品でなくとも常にキレイで傷みのないものを使いましょう。

窓ガラスの段ボールやガムテープでの補修は、できるだけ早く、きちんと修理しましょう。

あなたの会社で、何年も放置されていたり、適正にメンテナンスをされないまま限度を超えて酷使されすぎているモノはありませんか?
それらを一度見直してみましょう。

モノを大切にすることは、モノに携わる人を大切にするということ
適正に使ってあげることで、モノに関わる人たちの心も、明るく前向きになっていくことでしょう。

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