ゴーン氏を不正に走らせたのは何だったのか?【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

私は大学を卒業してから、日産自動車(株)に就職し、その後12年間勤めました。
ゴーン改革を3年間経験し、その後、思うところあって独立をし、2009年にこの(株)そうじの力を設立しました。

企業の環境整備活動の支援を行う中で、「社風」の大切さを考えない日はありません。
なぜ日産はゴーン氏の不正を止められなかったのか。
振り返って私なりに考えてみました。

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逮捕は必然

私が就職したのは1991年。バブルの絶頂期。
日産は、シーマやシルビア、スカイラインGT-Rなど次々とヒット車を発表し、世間的には「元気だ」と見られていた時期でした。

ところが、入社してみてビックリ。
長年の業績不振により、負債が積み上がり、財務状況は火の車でした。

入社して以来、毎年のように倒産説がささやかれます。
そして、私が入社して8年目。いよいよ危ない、という時に、ルノーとの提携が決まり、ゴーン氏が送り込まれてきたのです。

その後の「ゴーン改革」については、みなさんご存じのとおりで、おかげで日産は立ち直り、今に至っています。

ゴーン改革の特徴はいくつかありますが、私が印象に残っているのは、「コスト削減」「コミットメント」「クロスファンクショナル・チーム」といったところでしょうか。

「コミットメント」とは、「目標必達」というほどの意味ですが、それまでの日産においては、目標があいまいであったり、目標が明確な場合、その目標に対して未達でも、誰も責任を取らない、といった体質がありました。
ゴーン氏は、この風土を、信賞必罰という形で正したのです。

また「クロスファンクショナル・チーム」とは、職制上の組織体系や役職にとらわれず、能力本位で部門横断のプロジェクトチームを組成し、各課題に取り組んでいくことです。
これについては、今の私の仕事にも、おおいに役立っています。

さて、ゴーン氏の実績や手腕については、色々な論評があると思いますが、私は、おおむね最初の10年間は良かったと思うのです。
実際、ゴーン氏がいなければ日産は潰れていたわけですから。

しかし、その後の10年間は、余計だったと思います。
大した実績もなく、目標も達成できず、挙句の果てに逮捕されてしまいました。
「晩節を汚す」とは、まさにこのことです。

実は、私は、今回のゴーン事件、ちっとも驚きませんでした。
「さもありなん」と思ったのです。

社風は簡単には変わらない

少し時間を巻き戻します。

私が入社するはるか以前のことですが、日産は、不毛な労使紛争で疲弊していました。
労働組合のトップである塩路一郎氏が権勢をふるい、労組を私物化し、会社を食い物にしていました。

ところが、その弊害は明らかであるにも関わらず、当時の日産の役員、幹部、社員は、「触らぬ神に祟りなし」とばかりに、見て見ぬふりをするばかり。
当時の人たちの心情は、「塩路さんに従っていれば何とかなる」ということだったようです。

こうした労使紛争で、日産の経営は弱体化していきます。
私が入社したころには、既に塩路氏は失脚していましたが、悪化した風土は残っていました。

毎年の春闘で、経営側は
「財務状況が苦しいので、給料には手を付けないが、賞与は減額させて欲しい」
と提案するのですが、組合側は
「これだけ社員たちは頑張っている。それに報いるためにも、相当の賞与が必要だ」
と反論するのです。

明日にも倒産するかも知れない会社ですよ。
ボーナスが出るだけましです。

私は人事部門にいたこともあるので、こうした経営側と組合側のやり取りを間近にして、いつもやり切れない思いを胸に抱いていました。

当時、日産にいた人たちが思っていたこと。
それは、経営側・組合側という立場の違いはあっても、共通でした。

「いつか誰かが助けてくれる」

誰か、というのは、国だったり銀行だったり、あるいは大株主である生保だったり、というところが想定されていたのでしょう。
こういうのを「親方日の丸」体質といいます。

そして、結局、ルノーと提携し、ゴーン氏が助けてくれました。

こうなるともう、「ゴーン様さま」です。
「神様仏様ゴーン様」です。
ゴーン氏の言うことは絶対で、誰も逆らえません。

たとえ、ゴーン氏に批判的な声があっても、「ゴーン氏に従っていれば何とかなる」という圧倒的多数の空気には逆らえません。
こうなれば、ゴーン氏の独裁となり、不正を働くことはいとも簡単になってしまいます。

結局、日産の風土・体質は、ずっと昔から何も変わっていないのです。

ひと言でいうならば、「依存」。
社長から末端の社員まで、総依存の風土なのです。

私も、その渦中におりましたので、決して偉そうなことは言えません。
でも、私はその風土が嫌でした。
だから、悩んだ末に、「自立」の道を選んだのです。

「依存」から「自立」へ

私は「そうじ(整理整頓)」の取り組みは、「依存」から「自立」に変革するとても良い「仕掛け」だと思っています。

足下に落ちているゴミを、誰が落としたとか誰が悪いとか批判するのではなく、気づいた人間が拾う。
汚れていたり乱れていたりしたら、気づいた人間が行動を起こして、キレイにしたり整えたりする。
自分一人では解決できない乱れや汚れを、周りの人たちの協力を仰ぎながら、皆で一緒になって改善していく。
いきあたりばったりではなく、きちんと計画を立て、実行し、検証して、さらに良くしていく。
理念が「絵に描いた餅」にならぬよう、足下の小さな実践を積み重ねて、体質を強くしていく…。

こうした中で、少しずつ、「依存」から「自立」の風土が培われていくのだと信じています。

長年の積み重ねによって培われた風土を変えていくことは、簡単なことではありません。
しかし、「身の回りの環境」を整えていくことは自分一人からできます。
環境が変わると、人の心は動きます。

私たちは、社風を変え、強い組織を作るその長い道のりを、社長のそばで支えています。

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