こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。
環境整備においては、「整理」「整頓」「清掃」の順序が大切。
「整理」とは、不要なものを捨てること。
「整頓」とは、使いやすく配置すること。
「清掃」とは、掃いたり拭いたり磨いたりすること。
順番として、整理が一番最初に来ているということは、言い換えれば、
「整理がうまくできなければ、後に続く整頓や清掃もうまくいかない」
ということ。
だから、整理の良し悪しは、非常に重要です。
今回は、この「整理」についてのコツをまとめてみました。
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目次
整理の5つのコツ
「整理=捨てるでしょう?簡単簡単!」と思われるかもしれませんが、実は「整理」は非常に大変です。
そこで、整理に取り組むにあたり意識してほしい5つのコツをご紹介します。
①「使えるか、使えないか」ではなく「使うか、使わないか」
整理が苦手な人は、多いようです。
元来、日本人は、「もったいない」精神が旺盛です。
モノを捨てられないのです。
確かに、何でもかんでも勝手に捨てていいわけではありません。
そこには何らかの判断基準が必要なのですが、よくやってしまうのが、
「使えるか、使えないか」
で判断してしまうことです。
そうではなく、
「使うか、使わないか」
を判断基準にすることが大切です。
つまり、機能的に使えても、実務的に使わないものは捨てましょう、ということです。
わかりやすいたとえ話をします。
今ここに、一台のタイプライターがあったとします。
古いものですが、元気に動いています。
しかし、実務上、タイプライターは使いません。
現代はパソコンですよね。
ならば、このタイプライターは捨てましょう。
博物館に寄贈でもするならば、話は別ですが…(笑)。
「そんな、まだ動くのに、もったいない!」という人がいるかもしれません。
確かにもったいないですが、もっともったいないものがあります。
それは、スペースです。
私たちは、狭い日本の国土の中にいます。
誰しも、潤沢なスペースがあるわけではありません。
使いもしない機械がドンと居座り、貴重なスペースを占有してしまうことほど、もったいないことはありません。
それに、いくら機能的に使えたとしても、使わないのであれば、「もったいない」ことに変わりはありません。
だって、そのモノを活かしていないのですから。
使いもしないモノを取っておくのは、言ってみれば「生殺し」状態です。
モノがかわいそうです。
そんな殺生なことをするくらいならば、思い切って捨てて、成仏させてあげるべきでしょう。
②新品でも捨てる
私のあるクライアント企業では、環境整備の活動のスタート時に、大量のモノを捨てました。
その会社は設備工事の会社なのですが、当初、倉庫には、たくさんの設備機器がストックされていました。
中には、封を開けていない新品もありました。
ところが、その設備機器の一つひとつを確認してみると、
- すでに型が古くなってしまって、お客様には提供しづらいものだった
- 発注ミスで余ってしまったものの、特定の現場に合わせた仕様のために汎用性がなく、他の現場には転用できないものだった
ということがあったのです。
そこで、これらのストックの中で、「機能的には使えても、実務上使うあてのないもの」は、すべて処分しました。
社長さんに後から伺ったところでは、
「金額的には、おそらく300~500万円くらい、捨てたのではないか」
とおっしゃっていました。
金額を聞くと、とてももったいないように感じるかもしれません。
ですが、捨てたおかげでスペースができ、モノが良く見え、いろいろなことが解決していきました。
そして、このように、モノを捨てて減量化すると、あまり収納(整頓)のことに気を遣わなくても、問題はなくなってくるものです。
③迷ったときは「過去12か月以内に使ったかどうか」
ところが、「使うか、使わないか」と考えても難しいのは、「将来のことは分からない」ということです。
ある機械があったとして、ここ数年は使ってないとします。
しかし、「ひょっとしたら、この先に、使うことがあるかもしれない」という不安はぬぐえません。
将来のことは誰にもわからないのですから、何らかの割り切りがないと、何も捨てることはできなくなってしまいます。
こんなときに、よりどころにしてほしいのは、「過去12か月以内に使ったかどうか」です。
私たちのビジネスは、通常、12か月単位で動いています。
季節変動がありますが、過去12か月ならば、季節変動も含むことができます。
この変化の激しい現代において、過去12か月に使わなかったものは、まず今後も使いません。
商品だってそうです。
12か月以上動いていない商品在庫が、今後、売れることは、まずないでしょう。
まれに、業界の特殊事情として、数年に一度の単位で動くものがあったりします。
そのように、明確に把握できているものは、もちろん、残しておいて構わないのです。
④徹底的に整理するまで、整頓に移らない
このように、整理と一口に言っても、とても奥が深いもの。
それだけに、整理を徹底することは、とても大切です。
整理が中途半端なまま、整頓に移行すると、失敗します。
だって、使わないものを揃えたり並べたり表示したりしても、意味がないですよね。
スペースも食うので、収納が足りなくなったりします。
私がお手伝いする場合には、たいていどの会社でも、最初の一年間は、ほとんどこの整理、つまり捨てることにあてます。
それでもまだ不十分で、二年間くらいかけることもあります。
それだけ、整理は環境整備の中でもキーとなる活動だということです。
⑤いったん全部出す
整理におけるもう一つのコツは、「いったん全部出す」ことです。
整理とは、「要るものと要らないものを分けて、要らないものを捨てること」です。
私はお手伝いする先の企業で、
「では、不要なものを捨ててください」
と投げかけるのですが、ときどき、
「ここは必要なものばかりなので、大丈夫」
という声を聞くことがあります。
たとえば、社長さんが、ある引き出しを指して、
「この引き出しの中身は、みんな必要な書類ばかりなので、中身を検分する必要はない」
とおっしゃるわけです。
そんなとき、私はこう言います。
「とにかく、中身をいったん全部出してみましょう。結果として、必要なものばかりだったとしても、構いません」。
そうして、その引き出しをひっくり返して、中身をみんな拡げてもらいます。
すると、
「あれ、これは何?」
「これはもう使っていないね」
「なぜこれがこんな所にあるのだろう?これがあるべき場所は、ここではないね」
「これはゴミだ」
というようなものが、たくさん出てくるのです。
結果として、中身の多くのものを捨てられることがあります。
書類のファイルにしても、
「このファイルは、必要なもの」
という場合でも、ファイリングされている一枚一枚の書類をきちんと吟味してみると、不要な書類がたくさん出てくるものです。
人間は誰しも、先入観や固定観念に縛られています。
「ここは大丈夫」というのが、それです。
でも、それは現実を見ていません。
現実からかけ離れた誤った認識が、誤解を生み、さまざまな問題を引き起こします。
「いったん全部出す」ことは、
- いかにわたしたちの先入観や固定観念が誤っているか
- いかにわたしたちが現実を把握していないか
ということを思い起こさせてくれる、よい訓練になります。
わたしたちは、しっかりとよく見れば問題が見えるはずなのに、あえて見ようとせず、フタをしてしまうことがあります。
言ってみれば、現実逃避ですね。
「この引き出しは大丈夫」というのも、多分に現実逃避の姿勢です。
しかしそれは、問題の先送りにすぎません。
「いったん全部出す」ことは、「現実から逃げない」というマインドを育む、よい訓練でもあります。
まとめ
以上、今回は、環境整備において一番のキーとなる「整理」のコツについて解説しました。
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2023.09.14
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