身内が第一の抵抗勢力!対話する気力と信念はあるか?環境整備失敗事例②会長と奥様が反対したY社【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

整理・整頓・清掃を通じて、自社の現状や経営課題を明らかにし、全員でより良い企業風土を作る活動。
弊社ではこれを”そうじ”と表現しています。
「環境整備」や「5S活動」とも言われています。

ですがこの環境整備、
「やれば効果はあるんだろうけど、失敗することはないんだろうか?」
「ウチに導入して、失敗しないだろうか?」
と心配される向きもあるでしょう。

私の経験から申し上げられるのは、
「ほとんどのケースで成功しますが、失敗パターンにあてはまる場合には、残念ながら難しいでしょう」
ということ。

前回の記事では、失敗してしまう4つのパターンについて解説しました。

今回は、「身内の反対にあってしまったために、活動の継続を諦めた」失敗事例をご紹介します。

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「捨てたい」社長、「捨てたくない」会長と奥様

地方の建設業のY社。
40歳代の社長と、創業者である会長(社長の父親)、そして社長の奥様。
社員も含めると、総勢10名ほどの会社です。

Y社長は、自他ともに認める、片づけが苦手なタイプ。
デスクの上は、書類が山積み、書棚にも書籍や書類が溢れかえっています。

「どうにかこの苦手な片づけを克服したい」
と、社長から弊社にオファーをいただきました。

Y社長のマンツーマンレッスンがスタート

まずは、社長自身の苦手意識をどうにかしなければなりません。
他の社員を巻き込むのは後回しにして、当面は、社長の個人レッスンを行うことになりました。

行うことは、不要なものをひたすらに「捨てる」ことです。

社長のデスクには、いったいいつの案件か分からないような図面や、とっくの昔にボツになった見積書などが山積みになっていました。

また書棚には、定期購読している新聞や業界誌が、ずらりと並んで、収まりきらずにあちこちに散乱しています。
それも、おそらくあまり見ていないだろう、というものです。

私は、「過去12か月間に見ていない書類は無条件で捨てましょう」とアドバイスし、どんどん捨てていってもらいました。

時には、私の目から見ると明らかに捨てるべき書類を、社長が取っておこうとします。
そんな時は「ちょっと待ってください。この書類、本当に使いますか?」と詰め寄って、捨ててもらうことも。

気になる「奥様の独り言」

そんなやり取りを横目で見ている奥様が、ときどき、
「あんたねえ、人の言うことをホイホイ聞いてりゃいいってもんじゃないでしょ」
「あんたにはプライドってものがないのかね」
と、独り言のようにつぶやきます。

私はそれが気になっていました。

それでも社長は熱心に取り組んでくれました。
モノを捨てるのが苦手な人が、私のキツイ言葉に従ってモノを捨てるのは、断腸の思いだったことと思います。

おかげで、社長のデスクの上はスッキリとモノが少なくなりました。
ずっと取ってあった新聞や雑誌のバックナンバーも、直近1年間のものだけ残して、あとはすべて捨てていただきました。
書棚も、スカスカになってきました。

こうして、社長の周囲がどうにか片づき、いよいよこれから、他の社員さんたちも巻き込んで、本格的に活動をはじめよう!
というタイミングで、社長から、契約解除のお申し出があったのです。

会長と奥様からの猛抗議で断念

詳しく聞いてみると、会長と奥様が、継続することに難色を示している、とのこと。
やはり奥様は、相当に嫌がっていたようで、家庭内でも、チクチクと文句を言われるのだそうです。
会長は、我われの目の前では何も言いませんでしたが、社長がモノを捨てることに対して、嫌悪感を抱いていたようす。
社長に罵声を浴びせたりして、大ゲンカになったそうです。

社長としては、
「できればこのまま続けたいが、父と妻が頑強に反対する状況では、続けるのは難しい」
という判断でした。

一番初めに取り組むべきは、身内やNo.2との「気持ちの整理整頓」

社長自身にやる気があっても、社長の身内、つまり、

  • 会長である父親
  • 経理を担っている奥様
  • 専務である兄弟

だったりが、環境整備に対して頑強に抵抗している場合も、失敗するパターンです。
特に、その身内が、社長に対して影響力や支配力を持つ場合には、なおさらです。

建前としては「社長=最高経営責任者」であっても、実態としては、父親や奥様が実権を握っている、ということも珍しくありません。
その父親や奥様が抵抗するのですから、社長が推進力を発揮できないのは当然です。

「環境整備で会社を変えたい」。
社長が腹を据えてそう決めたのであれば、反対も覚悟の上で、必ず経営陣である身内に打ち明けるようにしましょう。

「なぜ取り組みたいのか」、
「現状のままだと、会社にどのような影響を及ぼすのか」、
「取り組んだ先に、どんな将来像を描いているのか」、
説得はできなくても必ず話をしましょう。

もし反対される場合、単に
「物を捨てるのが苦手」
「自分が抱え込んでいるものをオープンにするのが嫌」
「業務以外に労力を割くのは時間の無駄」
という理由なのか、それよりももっと深いところに理由があるのか、明らかにしましょう。

まとめ

特に、奥様が社内のキーマンである場合には、奥様との信頼関係はとても大事です。
中には、夫婦関係そのものに問題がある場合もあります。
その場合には、まずは、夫婦関係を立て直すことを優先した方が良いでしょう。
夫婦の信頼関係がしっかりしていれば、たとえ方法論で意見の相違があっても、長い目で見れば、成功に導くことができるでしょう。

失敗事例の具体的エピソードはこちら

失敗事例①「社長が環境整備を”社員にやらせたかった”ために、活動の継続ができなかった」ケース

失敗事例②「身内の反対にあってしまったために、活動の継続を諦めた」ケース ←本記事

失敗事例③「そもそも経営そのものに問題があった」ケース

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