企業の環境整備、「捨てる不安」を取り除く3つの方法【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

環境整備のいろはの「い」は、整理。
つまり不要なモノを捨てることです。

私は支援先で、「捨てましょう、捨てましょう!」としつこく言います。
でも、多くの人は、モノを捨てるのが苦手。

私はそれについて、

  • 「もったいない」という気持ち
  • 「懐かしい」などという想い入れ

が邪魔をするからだ、と、ずっと思ってきました。

ただ最近、整理が進まないのは、実はもうひとつ理由があることに気づいたのです。

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「捨てられない」もう一つの原因は、「未来への不安」

「何となく不安」。

整理の指導をすると、このセリフをよく聞きます。
実際、そのように感じる人は多いのでしょう。

たとえば支援先で、
「要らない本は捨てましょう」
と言うと、
「いや、この本は捨てられません」
と反論されることがよくあります。

「この本、読むのですか?」
と聞くと、
「いや、読みはしないけど、何となく置いておかないと不安なんです」
という答えが返ってきます。

そういう方の机には、例外なく、実に多くのジャンルの本や雑誌が高く積まれています。
読みもしないのに、です。

また、ある支援先において、デスクの中身の整理実習を行ったときのこと。
参加メンバーでランダムにペアを作り、デスクの引き出しの中身をいったん机に出します。
そのあと、要るものと要らないものに分けて、要らないものを捨てるのです。

実際出してみると、使っているのはほんの数本のペンのみで、あとにはたくさんのペンの山。

「よくこれだけのペンを取っておいたね!」と社長。
ご本人は、「いや~、何本か持っておかないと、何となく不安で…」と照れ笑いです。

「捨てる」という行為に付きまとうのは、「未来への不安」です

「捨てた先に、後悔する未来があるかもしれない」
「もう二度と手に入らないかもしれない」

不確かなことへの不安があるから、今ここに確実にあるモノにしがみついてしまうのです。

「捨てる不安感」を克服する3つの方法

それでは、不安感を克服するためには何をすればよいのでしょうか?
必要なのは、以下の3点です。

①わが社においての「整理の目的」をきちんと浸透させる

企業における整理の役割の本質は、
自分たちにとって本当に大切なモノは何か
を浮き彫りにすること
です。

モノで溢れている状態のときは、モノがあることで安心しているわけですから、
「自分にとって本当に大切なモノ」
が明確になっていません。

なので、いざ何かを始めようとか、トラブルが起こってしまったりすると、
「本当に必要なモノ」が曖昧なまま、

  • いろいろな機械や道具を買ってみる
  • 多くの管理書類を作ってみる

  ↓

  • さらにモノが大量に溢れ、場が乱れ、片づかない。
  • やたらとチェックすべきことが多くなる

といったことが多くの会社で起こっています。

だからまずは、
「我が社が本当に大切にするべきモノ・コトを明らかにするために整理をする」
ということを、「社長が全社に伝えていく」ことが大切
です。

これは、「会社をより良い方向へ変えていこう!」という、社長の決意表明でもあります

②「捨てルール」を明確にする

捨てる不安感を無くすために必要なこと2つ目は、「捨てルールを明確にすること」です。

捨てる時、何もルールがないと、実はぜんぜんモノが減りません。
なぜなら、「要るモノ」と「要らないモノ」の定義は、とても主観的。
人によって受け止め方が全く違うからです。

「これは使ってないけど、取っておきたい」
と思えば、その人にとって、それは「要るモノ」になってしまいます。

実習の際、私はこんな声かけをしています。
「ここ一か月で使ったものだけ取り出してください」

するとどうなるでしょうか。
一か月以内に使ったかどうかは客観的な事実なので、主観が入りようがないので、モノがどんどん減っていきます。

冒頭の、本を捨てられない社長さんには、このように伝えました。
「業務遂行上、あるいは、ご自身の人生にとって、これがなければ成り立たない、という本だけにしましょう」

するとようやく、ご本人の手が動き始めました。
そしてほとんどの本は、「そうではない」と分類されていくのです。

③みんなでやる

捨てる不安感を無くすために必要なこと、最後の一つは「社長以下みんなで取り組む」ということです。

できれば、業務内にしっかり時間を設けて、全員が同じ時間に「捨てる」に取り組むことができると良いでしょう。
理由は2つあります。

理由1 決裁者にその場で確認できる

一つ目は、「自分一人では判断を下せない物」が出てきたとき、すぐに決裁権を持つ人に確認ができること。

仕事の中で、自分以外の人が関わっているモノや書類は実に多いことでしょう。

みんなで同じ時間に捨てる作業をしていれば、その場ですぐに決裁を仰げるため、
「これはどうしたらいいのか…」
と個人が手元に置いて悩む心理負担が減ります。

理由2 個人に責任が押し付けられない

二つ目は、他人の目がすぐ近くにあること。

「これは捨てると不安だからとっておこうかな…」
と思ったとき、誰かと一緒に作業していると
「ルール上、それ捨てても大丈夫なんじゃない?」
と後押ししてもらえることがあります。

これも、
「自分一人の決断で大切なものを捨ててしまったのかもしれない…」
という心の負担を取り除いてくれるでしょう。

まとめ

「モノを捨てるのが苦手」
という裏側には、
「変化が怖い」
「後戻りできないことが不安」
「後悔することへの不安」
「捨てた先どうなるかがわからなくて怖い」
という恐怖感や不安感がつきまとうもの。

まずは社長が「捨てて、前へ進む」と決断すること
そして実際に身の回りから「整理」を始めること
そこからようやく、環境整備が始まっていくことでしょう。

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