こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。
整理・整頓・清掃をつうじて組織を強くする活動を「環境整備」と言います。
「なんだ、掃除をすればいいのか、簡単じゃん!」と思うかもしれません。
確かに、簡単そうに聞こえます。
実際、少なくない経営者が環境整備に取り組んでおられるのですが、実は、きちんと効果を出している人は少ないのです。
失敗するケースは、大事なコツを理解していないのです。
その大事なコツのひとつが、「局所集中」です。
「局所集中」で環境整備に取り組むだけで、成功率は格段に上がります。
今回は、この「局所集中」について解説します。
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目次
「局所集中」とは何か
「局所集中」とは、「狭い範囲に絞って、徹底的にキレイにすること」を言います。
その反対が、「広い範囲を、ザッとそうじすること」です。
たとえば、床のそうじをするとき。
「広い部屋の床を、とりあえずホウキでザッと掃いて終わり」
というやり方では、確かにやらないよりはマシですが、さほどキレイにはなりません。
反対に、
「狭い範囲、たとえば30cm四方に絞って、そこだけを集中的に磨く」
というようなやり方だと、ピカピカになります。
あるいは、部屋全体に物が散らかり、物が山積みになっている場合。
「いっぺんに、この部屋を全部整理しよう」
とすると、
- とりあえず目についたものを捨てて
- はみ出しているものを押し込めて終わり
となるでしょう。
でもそれだと、あまり状態が良くなった、という感じはしません。
反対に
「キャビネの一箇所だけ整理しよう」
と、ターゲットを絞ってそこだけに手を入れるとすると、
- そこにあるものをいったん全部出し
- 要るものと要らないものに仕分けをして
- 要らないものを捨て
- 要るものを分かりやすく元に戻して終わり
となるでしょう。
すると、
「手を入れたその部分だけは、他の部分と違って、とてもキレイに整った状態」
になります。
これが、「局所集中」です。
なぜ「局所集中」が大事なのか
局所集中が大事な理由は4つあります。
①違いが明確になる
広い範囲をなんとなく掃除しても、以前との違いが感じられません。
たとえば、床面をザッと掃いた場合。
まあせいぜい、埃っぽかったのが、埃っぽくなくなった、という程度でしょう。
しかし、狭い範囲に絞って、一箇所だけ磨けば、周りとの違いが明確になります。
くすみが取れて明るくなり、蛍光灯を反射して、ピカピカに光り輝くでしょう。
違いが明確になれば、やったかいがあったと感じられます。
そこに投入した労力が、報われたと感じるでしょう。
そして、その効果も実感できるでしょう。
違いがわからず、効果も実感できなければ、
「やってもやらなくても同じ」
という気持ちになり、意欲も湧いてきません。
②飽きる前に終えられる
広い範囲をそうじするには、当然ながら時間がかかります。
たとえば、広い部屋の床の雑巾がけをするのに1時間かかったとします。
それだけで疲れてしまいますし、集中力も続かず飽きてしまいますよね。
どんな人でも、集中力を常に高く維持しておくことは不可能でしょう。
東京大学薬学部教授の池谷裕二氏と株式会社ベネッセコーポレーションが共同で行なった調査(※1)によると、
「学習は、60分続けて行うよりも、休憩を挟みながら15分×3回行った方が効果がある」
ということが判明したそうです。
雑巾がけするのをを狭い範囲に絞った場合、所要時間はせいぜい15~20分間です。
であれば、飽きる前に終えることが可能です。
また、毎日それだけの時間と労力をそうじにかけられるかといえば、答えはノーでしょう。
業務時間内に毎日1時間も床を磨いていたら、さすがに業務に支障をきたします。
社員に「仕事が終わらなければ残業をしろ」と暗に伝えているようなものです。
なので、「狭い範囲」に絞りましょう。
これなら集中力も持続しますし、忙しい毎日においても、時間を割くことは可能でしょう。
③ここで終われない
たとえば、床面を磨く場合、局所集中でキレイにすると、そこだけが明るく光り輝きます。
一箇所だけピカピカに光っていて、周りは黒ずんでいるのですから、妙ですよね。
だから、ここで終われないのです。
明日はその隣の部分をやって、明後日はまたその隣をやって、というふうに、続けていけるのです。
④積み重ねていける
上述したとおり、
- 「違いが明確になる」 → やりがいを実感できる!
- 「一回あたりの所要時間が短い」 → 1回の負担が軽くなる!
- 「ここで終われない」 → 続けていける!
となり、継続できる活動にすることができるのです。
組織風土を変えるために行うそうじですから、一回やって終わりでは、何の効果もありません。
組織風土とは、日々の積み重ねで作りあがったもの。
変えるためには、新たな積み上げが必要です。
コツコツと続けてこそ、組織風土が徐々にじわじわと変わっていくのです。
「局所集中」の実例
それではここからは、どのように「局所集中」に取り組めばよいのか、事例を2つご紹介します。
① 床磨き
まず、狭い範囲(30~50cm四方)をマスキングテープで囲います。
その中を、磨いていきます。
状況によって、使う薬剤と道具が違いますが、一般的には、ワックス剥離剤とナイロンタワシを使います。
いわゆるメラミンスポンジを使ってもよいでしょう。
素材本来の色になるまで、徹底的に磨きます。
磨いたら、濡れ雑巾で剥離剤と落としたワックスを丁寧に拭き取ります。
そして、すぐに新しいワックスを塗布します。
こうすると、周りとの違いが明確になります。
蛍光灯を反射して、ピカピカに光り輝きます。
- 磨く範囲をマスキングテープで囲う
- 磨く
- ワックス塗布
- マスキングテープを剥がす
ここまでで、所要時間は15~20分間です。
一日一回、この作業を行います。
翌日に隣のエリアを磨き、その翌日はまたその隣のエリアを磨きます。
こうして、毎日少しずつ拡げていきます。
すると、こんなふうに、磨いたエリアとまだ磨いていないエリアの境界線がくっきりと目立つようになります。
これだけ違いが明確になると、よけいにやる気が湧いてきます。
社員間の会話も、和気あいあいとして、活気が出てきます。
ここまでくると、ゴールが見えてきます。
早く部屋全体を本来の色に戻したくて、うずうずしてきます。
最終的には、こうして部屋全体がピカピカになります。
大きな達成感を得られる一方で、疲労はほとんど感じないはずです。
こうした作業を皆で一緒にやることで、社内のコミュニケーションも、以前とは各段に良くなっているはずです。
② デスクの整理
デスクの上に書類が山積み。
引き出しの中はモノでパンパン。
足下にも、モノがあふれている…。
こんなとき、「いったいどこから手をつければいいんだ!」と、途方に暮れることでしょう。
ここでもやはり、
「狭い範囲にターゲットを絞ること」
が、解決への第一歩です。
たとえば、右側の引き出しの一段目に狙いを定めます。
この引き出しの中身をいったん全部出します。
不要なものは捨て、必要なものだけ、わかりやすいように戻します。
すると、このようになります。
整理した結果、すべてスッカラカンになりました(笑)。
まあ、これは極端な例ですが、こうするとやはり、違いが明確になります。
「こんなにスッキリするなら、他もやろう」という意欲が湧きます。
所要時間は、やはり15~20分間くらいです。
だから、次の日は二段目の引き出し、その次の日は三段目の引き出し、というふうに、続けていけるのです。
そして最終的には、デスク全体がキレイになります。
局所集中の効果は、社内に伝播する
この「局所集中」の効果は、本人に限りません。
私の観測範囲でも、社内に伝播することが多々あります。
隣で見ている同僚が、
「こんなにキレイになるならば、自分もやってみよう」
と思い、自主的に整理を始めたりするのです。
二人、三人、と社内全体に、波及していくのです。
これをもし、狭い範囲に絞らず、デスク全体をやみくもに整理しようと思うと、絶対にうまくいきません。
効果も感じられず、一日で断念することになります。
周りも「大変そうだな…」と感じるだけなのでしょう、波及もしません。
よくある、「残念な失敗例」になります。
少しずつ、でも確実にキレイになっていくことで、見ている人の心に灯がともるのです。
まとめ
このように、「局所集中」でそうじをすることで、
- 他との違いが明確になる
- 一回の所要時間が短い
- ここで終われない
- 続けることができる
のです。
逆に、広い範囲をなんとなくやってしまうと、
- 違いがわからない
- 一回の所要時間が長い
- 一回でやめられてしまう
- 続けることができない
というパターンに陥ってしまいます。
せっかく環境整備に取り組むのであれば、ぜひとも失敗しないために、「局所集中」で進めていきましょう!
疑問がありましたら、どうぞオンラインセミナーにご参加くださいね。
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