見えない所に本性が現れる!「裏側」の環境整備が大切な5つの理由【そうじの力で組織風土改革】

こんにちは。
そうじで組織と人を磨く、日本で唯一の研修会社 株式会社そうじの力
代表取締役・組織変革プロデューサーの小早祥一郎です。

会社におけるそうじの重要なコツのひとつが、「見えない所」を重点的にキレイにすること。
一般家庭における掃除ならば、「見える所」をキレイにすることが先決でしょう。

しかし、私たちが目指すのは、「そうじを通じて組織風土を改革する」こと。
それには、見えない所、つまり「裏側」を、しっかりとそうじする必要があります。

なぜ見えない所をそうじすると、会社が良くなるのでしょうか?
今回は、それを解説していきます。

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「裏側」の環境整備が大切な5つの理由

パッとは見えない「裏側」をキレイにすることがなぜ大事なのか。
それには5つ理由があります。

①「見えない所」に、本性が出る

まず、「見えない所に本性が出る」ということです。

人間、誰しも裏と表があります。
特段に邪悪な性癖の持ち主でなくたって、表の顔と裏の顔に多少の違いはあるでしょう。
で、裏と表と、どちらがその人の本性かというと、やはり裏でしょう。

企業も同じです。
表に見える所と、裏側の見えない所。
どちらにその企業の本性が表れるかというと、やはり裏側の「見えない所」なのです。

たとえば、下の写真を見てください。
これは、ある飲食店の裏口のようすです。

見るからに荒れていますね。
角度を変えて見てみると、このような感じです。

手前に見えているのは、どうやら使っていない業務用冷蔵庫と、洗濯機のようです。

この飲食店、べつにつぶれているわけではありません。
表側は、それなりに小ぎれいで、普通に営業しています。
しかし、裏側はこのような状態なのです。

お客様は通常、表しか見ません。
でも、もしこの裏側のようすを見たら、どのように思うでしょうか?

ここでちょっと視点を変えてみましょう。
自分にとっての裏側は、相手の表側となります。
私のようにここを通りがかった人間から見ると、この面は「表面」なのです。

また、最初の写真をよく見ると、おしぼりの入ったカゴがあります。
つまり、おしぼり業者さんは、ここでおしぼりの配送と回収を行うわけです。
おしぼり業者さんにとっても、こちらが「表面」になるわけです。

こうして裏側の姿を見た人が、口コミでそのことを知人に伝えることもあるでしょう。
SNSで拡散されることもあるかもしれません。
だからこそ、本性の出る裏側をキレイにする必要があるのです。

ちなみにこのお店は、その後、閉店しました。

②「見えない所」に問題が溜まる

次に、「見えない所に問題が溜まる」という現実です。
一見、何も問題がないように見える人にも、表からは見えないところで問題を抱えている、ということは少なくありません。
企業もまったく同じです。

たとえば、下の写真。

これは、ある工事業者の倉庫です。
ここには、工事で使う資材や道具、私物や、現場から出た廃棄物、ゴミなどが積み上げられています。

このようすから窺い知れるのは、
「この会社では、道具の管理や資材の在庫管理がうまくいっていないだろう」
ということです。

実際、道具を探すのに時間がかかったり、無駄な在庫を抱えて、そのぶんコストがかかったりしているわけです。

もう一つの写真を見てください。

この会社では、建屋と建屋の隙間に、使わないものを押し込んでいるようですね。

ここからわかるのは、この会社では、
「不要物の処分方法のルールが定まっていない」
「面倒なことを後回しにする、その場しのぎの風土がある」
ということです。

こんなふうに、「見えない所」には、見事にその組織の抱える問題が溜まるのです。
だから、裏側をキレイにするということは、そこに現れた問題を解決する、ということなのです。

上の工事業者の倉庫は、今では下の写真のようになっています。

こうして乱れた裏側をキレイにするには、

  • 単に不要物を捨てたり
  • 置場を整えたり

するだけでなく、

  • 道具の管理方法を明確にしたり
  • 廃棄物処理のルールを決めたり

といったことが必要になります。

この過程で、そうした問題が解決していくわけです。
つまり、「見えない所」のそうじをすることで、潜在的な問題が顕在化し、その問題に手を打つことで、組織としての問題解決ができる、ということなのです。

③「見えない所」がクオリティを左右する

製造業にしろ、サービス業にしろ、製品やサービスのクオリティを左右するのは、実は「見えない所」だという現実があります。

たとえば、下の写真を見てください。

これは、食品メーカーの撹拌機の下部です。
パネルで囲われた内部が、ご覧のように食品クズでびっちり覆われています。
ここから、かなり強い悪臭(アンモニア臭)がしていました。
付着した食品クズが腐敗して、その臭いがしているわけです。
これでは、いくら見える所の衛生面に気を遣ったところで、工場内の雑菌の繁殖は防ぐことができません。

だから、下の写真のように、見えない所をピカピカにするのです。

こうすることで、はじめて、工場内を衛生的に保つことができるのです。
食品メーカーや飲食店では、こうしたことに、特に注意せねばなりません。

下の写真は、飲食店のカウンターの内部の足下です。

こんなふうに、シンクの下部が汚れていては、店内にある食品や食器を汚染してしまいます。
これもやはり、「見えない所」です。

もちろんこうしたことは、食品以外でも同様です。
たとえば、車の整備業。
下の写真は、整備工場の一角です。

このような状態で、良い整備が期待できるでしょうか?
欲しい工具を見つけるのにいちいち時間がかかり、場合によっては、大切な部品をなくしてしまうかもしれません。

車の整備業において、本番は「整備」です。
整備工場内をお客様が歩いて回ることは、あまりないかもしれませんが、ここが会社にとって価値を生み出す源泉なのです。
いくらお店の表面を小ぎれいに整えたとしても、整備のクオリティが低ければ、何の意味もありません。

だから、「見えない所」をそうじする必要があるのです。

④「人から見えない」ことは、自分勝手な風土を招く

他人から隠れて見えない閉ざされた空間は、その本人のプライベート空間と化します。
本人にとっては居心地がいいかもしれませんが、他人の干渉が遮断されて、管理が行き届かなくなります。
組織としての一体感に欠け、情報共有もしにくくなります。
厳しい言い方をすれば、「自分勝手な風土」を招いてしまうのです。

会社という、本来「公」の場には、こうした「私」の空間は、なるべく少なくしたほうがいいのです。
下の写真を見てください。
この事務所では、当初、このようなレイアウトでした。

それぞれのデスクが、パーテーションで区切られています。
入口に立つお客様や取引業者からは、自分たちの手元が隠されて見えません。
同僚同士も、パーテーションによって遮蔽されています。
このような環境だと、前述したような「自分勝手」な風土を招きやすいのです。

そこで、下の写真のようにレイアウトを変えてみました。

すべてのパーテーションを取り払いました。
すると、隠れた「見えない所」がなくなり、すべてが「公」の空間になります。
こうすることで、コミュニケーションが取りやすくなり、情報共有も進みます。
組織としての一体感が強くなり、組織のルールが浸透しやすくなります。

つまり、物理的な「風通しを良く」したことで、「風通しの良い」風土ができたわけです。
だから、「見えない所」をできるだけ少なくする工夫が求められるのです。

⑤「見えない所」まで行き届いていることが、「おもてなし」

特にサービス業の場合、お客様への「おもてなし」に差が出る一つのポイントが、
「見えない所にまで行き届いている」
かどうか、ということです。

たとえば、ホテルの場合。
見える所がキレイなのは当たり前。
ベッドの下の床面にもホコリがない。
壁に掛けてある絵画の裏側にもホコリがない。
こういう状態こそが、お客様に対する本物の「おもてなし」と言えるのではないでしょうか。

もちろん、好んでベッドの下を覗き込むお客様は、あまりいません。
しかし、何かの拍子にベッドの位置がずれて、ベッドで隠されていた床面が露わになることはあり得ます。

そんなとき、ホコリだらけならば、
「まあこのホテルなら、この程度だな」
と思われるでしょうし、ホコリのない状態ならば、
「さすがこのホテルだ!」
となるでしょう。

いくら「おもてなし」と口先だけで唱えたところで、実態が伴わなければ、お客様に見透かされてしまいます。
そのひとつの実践が、「見えない所」までしっかりとそうじをすることなのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。
「そうじ」や「環境整備」、あるいは「5S活動」について解説した本やサイトで、このように「見えない所」の大事さを説いているのを、あまり見かけたことがありません。

「見えない所」に踏み込んで取り組みを行うのか、あるいは「見える所」へのアプローチに留まるのか。

この違いは、
 「組織風土を本気になって改革しようとするのか」
 「あるいは表面だけなぞってお茶を濁すのか」
という違いと言ってもいいでしょう。

ですから、本気で組織風土改革をしたいと望むのであれば、ぜひとも全社を挙げて「見えない所」のそうじに取り組んでみてください。

疑問がありましたら、どうぞオンラインセミナーにご参加ください。
つまづきがちなポイントや、視点の持ち方についてお伝えします。

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