香川県で様々な用途の建物水道・空調・電気工事を行う、総合設備工事業の後藤設備工業(株)。
昭和16年の創業より水道工事で戦後復興に取り組み、現在はあらゆる設備工事をカバーする社員数78名の会社です。
代表取締役社長の後藤真一郎様に、お話を伺いました。
環境整備をはじめようと思ったのは、なぜですか?
総合設備工事業は、図面などとにかく紙の書類が多い業種です。
日々書類が積みあがり、毎朝会社に来たら、仕事に行く前に、書類の山から30分くらいかけて今日作業する書類を探す、というのが日課でした。
紙でそんな状態なので、パソコンの中身ももちろんゴチャゴチャ。
経営に必要なデータもすぐに取り出せず、なかなか統制が取れていないようなところに問題を感じていました。
倉庫も、現場から戻ってきた設備機器類でいっぱいでした。
あるか無いかわからないのに、みんなで倉庫の中を探すこともありました。
また、設備屋は技術者が外に仕事をしに行く業態ですので、あまり自社に外部の方が来ることはありません。
ただ、年に1回か2回、お客さんが来ることがあり、そういう時はみんなで数日前から慌てて片づけをしていたんです。
どうにか見れるような状態にして、ただその日が終わって1週間もしたらまた乱雑になることの繰り返しを何年も続けていたので、どこかで整理整頓が必要だろうと感じていました。
弊社コンサルティングを導入するきっかけは何でしたか?
社内がゴチャゴチャであっても、特にものすごく困ったことは起きてはいませんでした。
ある時、縁あって、環境整備に取り組んでいる会社の見学会に行きました。
そこで「トイレ掃除をやりましょう」と教わりました。
自社に戻ってきて、一緒に見学会に行った社員と二人で、毎朝トイレ掃除を始めたんです。
トイレ掃除は1年くらい続けたのですが、社員が手伝ってくれる雰囲気はありませんでした。
そんな時、お世話になっている会計事務所さんの勉強会のチラシを見たんです。
それが、小早先生の講演のチラシでした。
「何か変わるかもしれないな」と思って参加しました。
その講演で聞いた、「そうじは自立、そうじで社風が変わる」いう言葉に感銘を受けて、支援をお願いすることにしました。
実践していく中で、なかなかうまくいかなかったことや、難しいと感じることはありましたか?
社員の抵抗はありました。
もともと社内にそうじ(整理・整頓)をする習慣がなかったので、毎朝清掃をやることにした時は、「忙しい」と言ってやらない人がいっぱいいたり、「もう朝掃除するところ全然ないですよ」とか言ってくる人がいたり。
自分自身が「やりたい」って始めたことなんで、社員がなかなかついてきてくれないことに対する葛藤もありました。
それをどのように解決していきましたか?
最初は「やらされ感」が大きかったのですが、少しずつみんなが参加を始めてくれるようになりました。
ただ、一番大きなきっかけは、活動を始めた1年後くらいに弊社を舞台に開催された「そうじの力全国大会」ですね。
そうじに取り組んでいる他社さんが見学に来る!ということで、みんなが自主的にそうじを始めてくれたかなと。
会社や社員の変化を教えてください。
以前を思うと、かなり会社が明るくなった、風通しが良くなったと感じています。
そうじの活動で最初に取り組んだのが、「机上ゼロ」。
帰宅時に、机の上に何も置かない状態にする「机上ゼロ運動」をやろうと始まり、それがフリーアドレスまで進化しました。
それが定着したあたりで、今度は会社の社屋を建て替える話が出て。
そうじを始めて4年だったのですが、社員が色々アイディアを出してくれ、素晴らしいオフィスができました。
多分そうじをしていなかったらこういう発想は出ず、普通の一般的な事務所を作っていたように思います。
そうじが定着していくにつれ、みんなが新しい取り組みをしたいという時に、積極的にどんどん手伝ってくれる、意見が出るような組織になってきたと変化を感じております。
あとは、全体的に残業時間が減ったり、生産性が上がったり、会社の利益が増え始めたのが、そうじを始めたころからリンクしているように思います。
社長ご自身の気持ちの変化はありますか?
そうじに取り組む前の事務所は、僕自身営業先から帰ってくるのがすごく憂鬱な気分になる事務所だったんです。
「僕が嫌なのだから社員ももっと嫌なんだろうな」という思いで過ごしていたんですけれども、そうじを始めてから、会社、事務所にすごい愛着がわきました。
社員にとっても、帰るのが楽しみになる、そんな事務所にできてきたかなという風に思います。
そうじに取り組んで、いろんな効果があったとは思うんです。
けれども、明確に因果関係があるものはなく、じわじわ効いてきて、気が付いたときに「あー、なんか変わったな、なんでだろう」って考えたらそうじがあった、というのが正直なところです。
「そうじやっておいて良かったな、あの時に取り組んでおいて良かったな」と今改めて思います。
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