お客様の声

(株)マツバラ 松原史尚社長

お客様の声

(株)マツバラ 松原史尚社長


岐阜県関市にある、1950年創業の老舗鋳造メーカー、株式会社マツバラ。
小物専業の熱処理から塗装・加工まで行う、社員数160名の会社です。
4代目で代表取締役の松原史尚社長にお話を伺いました。

 

コンサルティングを導入を決めたきっかけは何でしたか?

  弊社は、世界で初めて白の作業着での鋳物つくりに挑戦した会社です。
ISO14001も早くに認定を受け、中小企業鋳物工場では初めてとなる、ゼロエミッションの達成、経済産業省からの環境優良工場認定、政府系金融機関からの環境格付け合格、三重県が主催する日本環境経営大賞、環境経営優秀賞の受賞など多くの環境整備への表彰、認定をいただいてきました。

事実、世界中からの見学者も多く、鋳物工場では「環境のマツバラ」として古くから認識をされてきました。

小早先生とは、最初にお会いしてから20年近くになります。
最初は岐阜県の青年会議所が主催した講演会の講師に来ていただいた時でした。
先生の考えにたいへん共感したものです。

それからしばらくして先生が地元関市で再び講演をされると聞き、久しぶりの再会を楽しみたく、前日に岐阜に入っていただき情報交換、意見交流などの目的での懇親の場をお願いいたしました。
そして翌日、工場にも来ていただくことにしました。

この日は、たまたま工場の調整日。メンテナンスをしたり、集中的に掃除をしたりする日でした。
今まで調整日にお客様を工場にご案内することはなく、私は調整日の風景をじっくり観察したことはありませんでした。

メンテナンス活動中の職場は工具や保護具、手袋、エプロンといったものが散乱していました。
どうせ調整日に集中掃除するからと、その日までため込んだ埃や材料、補助材料、掃除道具なども散乱しておりました。

あまりの光景に私は絶句してしまいました。

この時最初に思ったことは、
「調整日だからと、メンテナンスや掃除活動時に物が散乱した職場では、いつか大きな事故、災害を起こす。こんな職場では安全作業はできない」。

そして次に感じたことは、
「私が今までやってきた環境整備は、人に見せるため・審査の人たちに評価されるもので、社員のためのものではなかった」
ということでした。

事実、そのあと小早先生と見学を続けると、見学コースになっていないところ、まして建物の裏や、設備の上、目につかないところはびっくりするような悲惨な状況になっておりました。

私は「目の前に起こることは絶対に何かの意味がある」それは決して偶然ではなく、何か意味があって、私に何かを教えるためにその事象が現われると信じています。

そしてこの絶句させられた現場の状況が、我が社の業況が景気に左右されたり、「時々労働災害が起きるが業界の中では、まあまあ安全を保っている方だ」と言われていたりすることと重なって感じられたのです。

この時、「鋳物工場として優秀な工場ではダメだ。『非常識にきれいで安全な鋳物工場』を作り出したい」という目標を立て、「掃除」(ただ見た目をきれいにする)から「そうじ」(会社の変革)へ変える決心をしました。

そのためには、今までやってきたことをドラスティックに変えなければなりません。
小早先生に正式に依頼し、「おそうじパワーアップ活動」と命名し、そうじの力で会社をよみがえらせる活動を経営の根幹に置くことを宣言し活動を開始しました。

絶対にぶれない、どんなことがあっても会社が存続する限り、いやむしろ存続し続けるための活動として、この活動を位置づけたのです。

 

弊社支援のどんなところが良いと思われますか?

 

大きく3つあります。

はっきりとした指摘

これまでの経験から目を落としそうなこと、気が付かない個所を見つけていただけます。
そして、はっきり明確に指摘していただけます。

そうじの活動を(掃除+心のそうじ)と位置付けた初めの一歩は、この指摘を謙虚に素直に受け入れることだと考えています。

人は誰も、自身の悪いところを指摘され嬉しい人はいません。
結果、市況や世界経済といった環境のせいにしたり、出来なかった理由や失敗の犯人捜しをしたりして、自身の失敗や現実出来ていないことを正当化する。
それが人間です。

しかし、現状を謙虚に受け止め、出来ない理由を探すのでなく出来る方法を語り合う。
ごみが落ちていたら落とした犯人を捜すのでなく、自身がその場で拾って問題を解決する。
失敗者を探すのでなく、解決策を素早く実践する活動を展開していく。

そうじをした後、そこがきれいになれば本当に気持ち良い。
この気持ち良さは、私たちの心もそうじしている現れです。
こうした「心のそうじ」の実践を続けると、どんな状況でも現状を謙虚に受け止め、改善していく力の源になるのです。

これまでの研究・実践からくる情報とネットワーク

さすがに何十年もこの活動を続けてきただけ、小早先生をはじめとした企業そのものに、そうじの力(一言では語れない無限の力)に対する情報、そして実践者のネットワークがあります。

何年もこの活動を実践し続けた人たちは、異なる表現でそうじを語ることがあります。

それほど奥が深い、しかし確実に大きな力(パワー、エネルギー)の存在を実践者たちは確実に気付いている。
そんな実践者たちの、交流や情報をいただくことが出来ます。

継続の支援

人って本当に弱いです。
弊社もどん底にいたからこの活動に真摯に向き合えましたが、収益性も高まり業況が良くなってくると少し心に隙が出てくる。

私の場合で言うと、そうじは少しも辛いことではありませんでした。

どうしたら会社がより良くなるのか、どうしたら業績が上がっていくのか。
そうじをしながら一生懸命考えていると不思議と素晴らしい考えが浮かんでくるのです。
そしてあっという間に1時間、2時間とそうじをしているのです。

しかし、業況がかなり改善し、やるべき課題も次から次に見つかり、人も育ち社員たちが自ら率先してこうした課題への取り組みを実践してくれるようになると、私自身は以前のように考え込まなくなるのです。

鋳物業は、先進国化すると最も早く空洞化、途上国への移管が始まる業種です。
その理由は、もちろん価格です。
ならばその価格を世界一値打ちを感じていただけるようにできれば、世界中から注文が頂ける。
この恐ろしい挑戦をする勇気が出たのも、そうじの実践でした。

しかし、売上高経常利益率が5%を超え始めると少し心に余裕が出来てきました。
これこそが、過信、慢心の根幹です。

この数字は、業界の中では優秀ではあります。
しかし今私は、非常識な鋳物工場「経常利益率10%以上」を目指しています。
これは非常識にきれいな鋳物工場を目指しているからこそ追いかけられるテーマです。

またそうじをしながら考え込む日が続いています。
今、その糸口が確実に見えてきて、更に「絶対にできる」という確信に変わろうとしています。

そうじの力=無限の力を信じています。

 

「そうじの力」を導入して、社内がどんな風に変わってきていますか?

 

効果を語り始めたら、きっと一冊の本になるのではと思うほどの効果が出ています。

若手社員の成長

弊社では「にこにこサイクル」(もし知らないようでしたら、早急にそうじの力のセミナーの受講をお勧めします)が、どの職場でも廻っているといっても過言ではありません。
つまり、全てのことが善循環、好回転しているのです。
その結果が、「世界で最も値打ちな製品を日本で作り上げる」という非常識な経営が今のところ順調に推移していることにつながっているのだと考えます。

優秀な企業、どんなに景況や市況が悪くても必ず安定的な収益を確保していく絶対の企業は、決して他社にはまねのできない圧倒的な商品若しくはサービスを持っています。
一発屋のように素晴らしい商品を開発してもすぐに真似られてしまったのでは、すぐにまた悪い時期がやってきてしまいます。

では、どんな商品やサービスが良いのか?
それは何十年もかけて、「毎日こつこつと積み上げてきた技術力やノウハウが形になっている商品やサービス」だと断言できます。

今日頑張ったからといって明日には成果が出ない。
しかし、何年も何年も毎日やり続けてきた結果がその企業の圧倒的な力になる。
このことと、そうじへの取り組みは本当によく似ていると感じています。

毎日こつこつやっていく。今日と明日は大きく変わらなくても、毎日ほうきを持って汚れたら掃き続ける。
そうじへの取り組みと、積み上げる企業努力は、全く同じことです
そうじを続け、大きく成長し圧倒的安定感を持つ企業になっている企業の社長さんは、きっと私と同じことを実感していると思います。

圧倒的安定感とは言い過ぎかもしれませんが、弊社もここ数年で圧倒的な商品力とサービスを完成させることが出来たと感じます。
今から70年前の創業より言い続けてきた、小物・薄物鋳物へのこだわり、これまでも品質や納期、技術、環境といったサービスでは圧倒的な信頼をいただいてきました。
そして、値段までも圧倒的な価値を生み出すことに成功し、遂に最高の商品として完成させることが出来たと感じています。

そして、その原動力になったのは、「おそうじパワーアップ活動」を通した社員、特に若手社員の成長です。

一番成長をしたのはこのプロジェクトのリーダーを務めてくれている鋳造(製造)部長の下野さんです。
彼は県立岐阜商業を卒業した人ですので、技術者ではありません。大学を卒業したわけでもありません。
その彼が、社内に2名存在する工学博士や、大学院卒業生、工学部卒業した優秀なエンジニアたちを束ね、「おそうじパワーアップ活動」開始以降、生産量は約2倍、生産性やコストを3割以上改善する実績を達成した製造部門の部門経営者として君臨します。

彼は、この「おそうじパワーアップ活動」を始めた4年前には、まだ係長でした。
そうじの活動を通じて彼が一番研いたのは、コミュニケーション能力、そして絶対にあきらめない執念を礎にした目標達成能力だと感じます。


鋳物は、炎と埃の仕事です。
この鋳物工場を「非常識に美しい工場にする」という目標を経営の根幹に置いて、社長(私)が社命として与えてきたのです。
非常識への挑戦を続ける中で、彼は職場の中で次々に非常識と思われる改善を衆知を集めて成し遂げてきたのです。

同じように係のリーダーは原則新入社員に近い若手を起用してきました。

人間が一番つらいのは、叱られることではない、無視されることです。
私の企業でも、私たちはそんなつもりはなくても、無視に近いことを社員、特に新入社員に近いところにはしてきたのかもしれません。
最初からあてになるわけでもなく、当たり前といえば当たり前ですが、新入社員はただ見ているとか、単純作業を繰り返しさせられることの連続であった気がします。
それではこうした社員が定着するわけはありません。

しかし、ぞうきんを持つこと、ほうきを握ることは誰にでもできます。
そして、若手にそうじのリーダーを任せ、全社員がこの若手を盛り上げるように協力していく。
そうじの活動を通じてこの若手が大きく成長し、その結果が会社の業績に大きく貢献しました

離職率の大幅な減少

加えて、社員の離職率が大きく減少しました
逆に、出来ればこの人たちには去ってほしいな、と私が思っていた社員が離職していったのも、文章上詳しく述べるのは差し控えますが、そこにそうじの力があったことだけ報告しておきます。

「境界線」がなくなってきた

職場のそうじをする場合、これまでも自職場は比較的きれいにそうじを実践していました。
しかし、弱かったのが職場と職場の境目、いわゆる境界線というところです。

この境界線、存在するのはそうじの活動だけではありません。
実際の経営の現場では、営業部と製造部、製造部と生産管理部、品質保証部と営業部・製造部、もっと言うなら経理・総務・購買…。
こうしたすべての部門にまたがって境界線が存在するのです。

そして、よく言えば遠慮、悪く言えば責任他人論で、この境界線に大きなロス、無駄が発生していました

小早先生が言われるように、「ごみを誰が落としたかは問題でない、重要なのはあなた自身がひろうことだ」ということを、私は社員に徹底的に話します。
問題は「誰が汚したか」でなく、「誰がきれいにするか」である。
他人の職場でも、ごみが落ちていれば拾う。境界線を越えて、自ら行う。

「おそうじパワーアップ活動」を常に比喩し、社員、特に幹部には語り続けました。
この結果が境界線から大きな成果を生み出す原動力になってきたのです。

異常を見抜く力の向上

トイレそうじをしていると便器や床しか見えなくなります。
鏡を使い、見えないところまで掃除もできるようになります。
しかし、時に上を見上げ、換気扇やドアに目を向けてみるとまた異なった、異常が見つかるものです。

実際の職場でも同じです。
時に非定常をしっかりチェックする力がそうじによって培われてきます
すると、労働災害や、ライントラブルによるロスといった事故を防ぐことにつながってくるのです。
これまで気づかなかった、欠陥や亀裂、異音や異臭も敏感に感じられるようになる、これも弊社の大きな成長になっているのと感じます。

 

最後に、導入をお考えの経営者の皆様へのメッセージをお願いします

 

最後に一番大きく成長し、変化したのは社長である私自身だということを伝えておきたいと思います。

多くの中小企業のオーナー社長にみられる傾向ですが、ひらめきや思い付きは多いがそれを継続してやり続けることが出来ない。
素直でなく、人に指摘されたり、注意されると無性に腹が立つ。
結果が悪いのを、環境や政治のせいなどにして自分の非を認めない。
常に自分が話していて、幹部や社員たちの意見を聞かない。
私はこの中小企業のおやじの典型であったと確信しています。

しかし、「そうじの活動を経営の根幹に置き、会社が存続し続ける限り絶対にこの活動は止めない」と宣言し活動を展開してくると、非常識な鋳物工場をつくるためには、前述の典型的中小企業のおやじスタイルに決別しなければ活動は進んでいかないのです。


いくら社員にやれと命令しても、私自身が動かなければ本気度は伝わりません。

毎日、ただ黙々とそうじを続ける。

謙虚に指摘を受ける心、黙って人の話を聞く心、ただ社員の計画を喜び、そして成果を喜ぶ心…。
このそうじの活動をを通じて私自身が大きく成長してこれたと実感しています。

社長が変われば会社が変わる。その結果が今のにこにこサイクルがどんどん廻っていることにつながっているのではと感じます。

 
(株)マツバラのコンサルティング導入事例▼

 

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