(株)西鶴は、「お客様にハピネス(幸せ)を提供する」をモットーに、大阪で墓石販売・家族で訪れたくなる欧風霊園開発を行っている会社です。
代表取締役の山本一郎社長にお話を伺いました。
コンサルティングを導入するきっかけは何でしたか?
ここ数年、仏事業界すべてが大きな問題を抱えています。
我々業界の啓発に役立てていきたいと、著名なタレント、文化人、学者、経営者など多岐にわたった方々と対談の場を設けさせていただいています。
小早先生のことは、「企業の”そうじ”の専門家」ということで、知り合いの方にご紹介いただき、ぜひお話を聞きたいとオファーしました。
せっかくなので、対談の前に2つの霊園を一緒に回って見ていただきました。
私たちの霊園は、お客様から「他の霊園、墓地と比べて、ハピネスパークの霊園は綺麗ですね」って言っていただくことが多く、しっかり掃除をしている自負はありましたので、どれぐらいのレベルにいるのか教わりたかったんです。
ところが、霊園のトイレを一緒に見た時「こんなに汚れていたのか…」とびっくりしてしまったんです。
「業界の中ではキレイだ、ではダメだ。そこで満足していたら進歩はない」と、コンサルティング導入を決めました。
導入後、どのような形で活動が進んでいったのでしょうか?
まずは社内にある「不要なモノ」の整理に取り組むことになりました。
正直最初は、そんなに捨てるものはないかと思っていましたが、大間違いでしたね。
特に書類は出してみると捨てられるものだらけでした。
お墓のデザインのファイルなども、とにかく「いつか使うため」に取ってあった。
パンパンだったファイルをスリムにするのに、2カ月以上もかかりました。
他にも「モノの前にものモノを置くな」と口では言っていても、実際にはモノがあって、死角があって、そこに書類があって…という事が多々ありました。
巧妙に隠れているんですよね。
なので初年度は、時には月2回来てもらってサポートしてもらいながら整理を進めていきました。
実践していく中で、なかなかうまくいかなかったことや、難しいと感じることはありましたか?
「捨てる」というのは、その前の工程に「オープンにする」というものがあります。
一旦全部出さないと仕分けはできないし、仕分けしないと捨てられないので。
その「一旦すべて出す」ことが嫌だという抵抗がありました。
特に生花部。
アラを見られては嫌だと、最後まで整理の手を入れられることを拒まれました。
以前から、「花は高いから売れない。安くしないと売れない」と従業員さんたちから言われていて、私はそれに反対していたんです。
そういう対立もあったからかもしれません。
それをどのように乗り越えていきましたか?
聖域を作ってはダメだと、覚悟を決めたんです。
抵抗した人は結局退職されていきましたが、その後お花の売上は前年比140%アップになりました。
そうじ(環境整備)でロスがなくなり、担当者が仕入れのこと、作りやすい環境を考えるようになったんですね。
きちんと在庫管理をして、仕入れが明確になるようにして、新鮮なモノ・良いモノをきちんと売れるようにした。
そして、「誰に見られても大丈夫」という透明感を出し、暗かった売り場を明るくした結果、花の値段を高くしても売れるようになったのです。
今では商品の流れも誰が見ても分かるという状態になりました。
会社や社員の変化を教えてください
整理に全社で取り組んだことで沢山の問題点が出てきました。
でもそれにちゃんと向き合っていったので、かなり様変わりしたんです。
業務に精通してくると、人は「自分が任されたモノを、他人には触られたくない」思うようになってしまいます。
その気持ちはわからないこともありません。
自分が任されてやっている所を、「今日入った人でも分かる」と状態にするというのは、「自分が無能と思われる」という考え方の人って多いと思うのです。
そうではなく、誰が見ても分かるシステムを作った人が、本当は非常に能力が高いんですよね。
でも、隠そうとしてしまうのは、「自分が作ったものは偉大だ」「自分でないとできない仕事だ」みたいな心の在り様なんです。
技術が必要な植栽部とかもそうでしたので、僕自身が入りメスを入れて解体をしていった。
そうすることによって、社内がすごく良くなりましたね。
特に成長を感じているのは、ある営業社員のN君です。
N君は人当たりは良いものの、なかなか営業成績が振るわない。
見てみると、彼のデスクや鞄、車などは、本当にモノだらけなんです。
整理整頓や後始末が本当に苦手だったんですね。
そこで何回も実習を重ね、整理整頓のトレーニングを積んでいったんです。
そうしたら驚いたことに、営業が取れるようになってきたんです。
契約の確率でいうと、2~3割上がりましたね。
特に彼が優秀になってきたなという事があります。
売った後や契約した後に、お客様から「やっぱりやめとくわ」とキャンセルがあることがあります。
それが、前は下手したら契約後1ヶ月2ヶ月後に断られるというのが多かったのです。
商品の手配をしたりしますので、キャンセルが後になるほどダメージが残るのですね。
ところが、そうじの力に取り組んできて、彼のお客様の「キャンセルまでの期間」が短くなったんです。
例えばこんなやりとりができるようになりました。
今日契約させてもらったけど、今回は遠慮させてもらいたいんです
今回は遠慮するという事でしょうか?
いや、お墓はやめます。田舎に帰ります
では、ご縁が無かったということでよろしいですね
お客様との間の取り決めを曖昧にせず、きっちり整備し話を詰めることができるようになりました。
当り前のことは当り前のように約束して、細かい所まできちんとお客様に言わせる。
断られるまでの期間が短いというのは、僕の中では優秀な営業マンです。
支援の中で、どんな点が印象に残っていますか?
小早社長が来ると、「これは何ですか?」って言って色々と聞かれます。
だいたい僕たちが「今回これやっていなかったら言われるだろうな」という点を全部言われるんですね(笑)。
だから、よく細かい所に気づく人だなと思います。
これが、遠慮されてはっきりと言ってもらえないと、ダメではないかなと思うのです。
僕が教わったことに「人生は、三人のお師匠さんを持て」というものがあります。
一つは、自分の知らないことを知っているとか、自分の就けない地位を持つお師匠さん。
二つめは、仕事や経営の原理原則を教えてくれるお師匠さん。
三つめのお師匠さんっていうのが、はっきり言ってくれる人です。
人は、はっきり言われると傷つきます。
多くの人は、優しく言って、はっきり言わない遠回しの人を良い人だと思うのですけれど、僕は中学、高校、大学と、バシッと怒られた先生の事しか覚えていないですね。
なんか中途半端に褒めてくれる先生って、今考えたら面倒くさかったんだろうなと。
やっぱり、はっきり言ってもらえると印象に残ります。
「自分たちだけでは出来なかったであろうことが出来た」ということはありますか?
そうじがすごく苦手だったN君が、あれだけ車もキレイになったし、カバンの中も財布の中もキレイになったというのは、小早先生のおかげかなと思います。
彼は入社時、自家用車の中がゴミだらけだったんです。
ゴミを捨てるのに45分かかったという…(笑)。
20Lのポリ袋が20袋位。
後ろの天井までゴミだらけの「ゴミ屋敷車」でした。
彼が使う社用車も、ティッシュとかペットボトルとかコンビニのおにぎりのビニールとかが落ちていたりしました。
それが、「不要なものを載せない」クセ付けを出来るようになったら、そういうのが無くなったんです。
彼は以前、約束忘れが多かったんです。
アルバイトさんを、朝にN君が迎えに行くことになっていたのですが、アルバイトさんから毎回
「今日8時半に迎えですよね?今どちらですか?」
と電話がかかっていたようなのです。
「あっ…!会社に着いていました。すみません」って忘れている、と。
今はアルバイトさんが、「Nさん、約束を忘れることが全く無くなって、どうしたのでしょう?」と言うんです。
約束を忘れなくなった、営業が取れるようになってきた、というのは、後始末が出来るようになってきたのと同時期くらいのことです。
「そうじの力」を導入をお考えの方にメッセージをお願いします。
「そうじの力」の導入以前は、業界のトップの人・プロの人を呼んで来て、「これはダメですよ」という指導を受けて、ただそこを改善をするということをしていました。
でもそうすると、その後は何もしなくて良い、という風になってしまう。
それでは駄目なんですね。
ひとつひとつ見直して、継続して変えていく。
一度変えたところも、しばらくするとまた最適ではなくなりますから、また変えていく。
そうやって、社内の新陳代謝を繰り返していく。
僕たちは「墓石店の中では良い」とか「霊園の花屋にしてはキレイね」ではなくて、例えば花屋だったら、日比谷花壇が見ても驚く、「こんなにキレイにされているの?」という域に達したい。
「これが霊園なの?そこら辺のレストランよりキレイね」と言われるような、「フランス料理のMIKUNIさんとこよりもキレイね」と言われるみたいな、業界を越えて一流になっていきたい。
全員でそういう所を目指すために、まだまだ環境整備を進化させていきたいので、僕はそのためにはやはり「専門家の目線」が必要だと思っています。
「自分たちだけでは気づかなかったことに気づくこと」が初めの一歩です。
特に自社なりに取り組んでいる自負がある方は、さらに突き抜けるチャンスだと思いますので、ぜひ小早先生に見ていただくと良いと思います。